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スイミングスクールウォーズ(1)

 功は身体が小さく弱い。非力だし、制服だってブカブカだが、そんな自分を克服しようと町の小さなスイミングスクールに通っていた。基礎体力作りに最適だと思ったのだ。3年続けてきて大分鍛えられてきたと思う。大人に比べればまだまだひ弱そうに見えるが筋力はそこそこ強い。成長期を迎えてグンと伸びていくと密かに期待している。
 春を迎え、進級し、ここスイミングスクールでも新たなクラス編成が行われた。
「じゃ功はこっちのクラスな」
「え、高井先生、そんな待ってください!」
 実力を元にクラス分けするシステムで『男女』や『学年』で分けることはない。功は背泳ぎが得意で好成績を残してきているが、今度のクラス分けは納得がいかないものだった。本年度新入会の子供クラスに割り振られたのだ。年齢的には4つか5つも下の子たちだ。
「何で俺が初心者クラスなんですか!?」
「お前の実力じゃ上のクラスは付いていくの厳しいぞ? それに下の子たちの面倒を見てもらうのも勉強になるんだぞ」
 それにしたって5、6段階くらいで分けるクラスの下から2番目って… 一番下は幼稚園児のクラスしかない!
 そうして強引に子供クラスでスタートすることになったのだ。功の他に男の子3人、女の子8人のほとんど全員が初心者で構成されたクラス。
「俺は初心者の域を出てないって言うのか…」
「よろしくお願いしますっお兄さん」
 初心者用のオレンジの水着を着た女の子たちが功に挨拶する。
「ああ、よろしくね」
 女の子たちは人懐っこくて功を尊敬の眼差しで見つめていた。この人、細く見えても意外に筋肉があってカッコいい、優しいお兄さんが手取り足取り教えてくれるーと、口々に語っていた。年下の女子の競泳水着が目に飛び込んできて功は顔を赤らめた。
 功は嬉しく思う反面、下位クラスのことはまだ納得はいっていない。
「お兄さん、シャワー室ってこっちでいいんですか?」
 声を掛けてきたのは桃という子で短いお下げを2つ作った目の大きな可愛らしい女の子。
「そうだよ。あの幼稚園クラスの向こう側だね」
 もう一人、桃と一緒に寧々という女の子も一緒だった。二人はありがとうございますと礼を言って楽しそうに去っていった。館内は迷うようなレイアウトじゃないのだけど、どうもみんな何かにつけて話しかけてきた。喋るきっかけがあれば何でもいいのだろう。
「解らないことがあったら何でも聞きな」
 クラス分けは納得しないがせめて頼れるお兄さんでありたい!と思うのだ。
 男の子たちは逆に始めから功のことを敵視しているようだ。彼らより実力が上である功が早くも女の子たちとも仲良くなったものだから、それが面白く無いのだろう。
「よぉうし!みんな第1コースの前に集まれ」
 新クラスが始まって2ヶ月ほど経過した頃。初心者クラスの高井先生が号令をかける。色黒で泳ぐのに邪魔そうな筋肉を纏っている。
 今まではバタ足が中心だったが、これから平泳ぎの練習だそうだ。
「よぉうし!功、みんなの手本になってくれよ」
「はい」
「ちょっと足の動きを説明したいから前に来てくれ」
「え?」
 そう言って高井先生は功の手を強引に引っ張る。
「飛び込み台の上に腹ばいになってな」
「えっ! ここでですか!」
 飛び込み台の上で腹ばいだって!? 一瞬でどんなことになるのか理解した。飛び込み台の周りに年下の男の子・女の子11名が体育座りで注目しているんですけど?
 功は躊躇した。
「何やってる? ほら早くっ」
「えでもっ」
 高井先生に強く手を引かれて無理やり腹ばいの格好にさせられた。普段は飛び込むために足を置くところだ。ここに腹ばいになるということは…
「さあ、いいかみんな。足の動きに注目しろ。平泳ぎというのはな、水の中でどういう足の動きをするのか。足の掻き方をまず覚えるぞ!」
 この状態だと確実にみんなの目線の高さに功の股間が来ることになる。みんなの注目が集まる…。
「こうやってカエルのようにだな。ほら功。足だけ平泳ぎをするんだ」
 功は顔を赤くしながら空中で平泳ぎをする。功の小さな緑の競泳水着、そのもっこりとしている部分にみんなの目が行くだろう。
「こらこら、駄目だ功。もうちょっとゆっくりやるんだ。説明できんだろ」
「はい」
 足を開いて、まっすぐの状態からゆっくり足を曲げ…
「ちょっと待てって。まず足を開いた状態で止めろ」
「えっ?」
 功は言われた通り足を開いた。ここから高井先生が長々と説明し始める。そんな説明聞くより明らかに泳いだほうが早い!実践で覚えさせたほうが早い!
 足を開いた状態で止められたものだからモロに功の股間の辺りがみんなに注目されるだろう。
「ここからこうやって足を曲げてだな」
 功は高井先生がどうやって教えたいのかを理解した。理解したが恥ずかしい。今度はちょうどアルファベットのW字型に足を開く。功を真後ろから見たらW字になっているのだ。
 小さくクスクスと笑う声が聞こえてきた。小さな競泳水着だから性器の形がハッキリと見えてしまっているのだろう。こともあろうか高井先生はこのW字型に足を開いた状態でまた長々と説明し始める。
 あれ? う…、これは…やばい。
 ちんちんがムクムクと勃起し始めた。えぇ!? 何でだよ!?
 功は焦った。
 何も考えないようにしろ。エッチなことなんて考えてないのに!今日の晩御飯… 明日の数学の予習範囲は… だがちんちんは硬くなっていく。
 高井先生は説明をやめない。みんなの注目を集めてしまう。
「ここ大事だからな。もっと近くで足の動きよく見ろ。後でみんな泳ぐんだからな」
 近くで見ろだと? 先生の声とともに生徒たちは功に近寄ってきた。右後ろを少しだけ振り向いてみるとクスクス笑う桃と寧々の顔が見えた。年下の女の子たちに、近くで股間を見られている。しかも水着越しとはいえ勃起した状態をだ。功は泣けてきた。なんで勃起なんてしてしまったんだ!


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