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Killing Park Ⅱ ブランコ遊戯(4)

 人間社会と健一をつなぐ最期の一枚が六実の手の中にあった。布越しに六実の手の感触が伝わってくる。健一のちんちんは少し大きくなり始めた。
「ごめんなさいは?」
「は?」
「弟に謝って?」
「…」
 健一はこの期に及んで自分がいじめた相手に謝る気にはならなかった。そんな小さなプライドが邪魔をして最悪の事態を招いてしまう。
「謝らないなら、君の恥ずかしいところみんなに見られるけど、いい?」
 六実以外の三人は健一のちんちんを拝んでやろうとニヤニヤと視線を送っていた。気がつけばブランコの周りに小学生がポツポツ集まっている。遊び場を奪われた女の子二人を筆頭に男子も高学年の女子も物珍しそうに注目していた。女子はおもしろいものを見るような目だが、男子たちはどことなく怯えているふうだった。
「謝らないならしょうがないよね?」
「あっ! やめろ!」
 六実は何の予告もなく健一のパンツから手を離した。
 女子たちの前に健一のちんちんが露出する。
「あー!」
 健一は内股になる。鎖が揺れるだけで股間を隠すには至らない。
「きゃ~っなにこれ~っ」
 倉見は愉しそうに立ち上がって健一の股間を覗き込む。
「少し勃起してねぇ?」
 稲葉は鼻で笑う。
「六実に触られたからだっ」
 長田が大口を開けて笑った。
 健一は彼女たちから目を逸らすように顔を背ける。
「ちんぽの毛ぇ薄いな!」
 健一のお尻に長田の張り手が飛んだ。パチンッと尻肉が震える。取り囲んだ女子たちが、ギャラリーも含めて全員笑っていた。男子たちは唖然としているようだ。自分たちより歳上の男が女子に手も足も出ないのを目の当たりにしたからだろう。
「ひゃははっ!今ちんちんピクッてなった!」
 倉見が指さして笑う。稲葉はケータイを取り出して撮影を始めた。
「記念写真撮ろうっ」
「はははっ」
 盛り上がる三人を余所に六実はただ一人健一を睨みつけていた。健一は誰とも目を合わさず顔を真っ赤にして耐えていた。
「七太はもっと酷い目にあったって聞いた…」
 六実は呟いた。
「ここまでされても謝罪の言葉は言わないつもり?」
「う…」
 健一は叱られた子供のように涙を零した。
「男として恥ずかしくないの?」
「わ~泣いちゃった!?」
 倉見は健一の顔を下から覗きこんで笑った。その泣き顔も稲葉のケータイによってカシャリと収められる。
「もういい… 好きに遊んでいいよ」
 六実はブランコから離れて柵に腰掛ける。
「健一くん、遊んでいいんだって? ブランコ一緒にやる?」
 倉見はブランコに立ち漕ぎスタイルでスタンバイする。
「よし、一緒にブランコやるか?」
 長田が憎たらしくブランコに腰を下ろす。稲葉は離れて写メを撮った。
 倉見と長田がブランコを漕ぎ始める。健一は何が起きだしたのか状況を把握しようと見回す。
「…な、何だ?」
 ブランコが揺れて、その揺れに合わせて健一の身体も空中を舞う。左隣を見ると倉見が可愛らしい笑顔を向けてくる。本当に公園で遊んでいそうな子供のような無邪気な笑顔だ。右隣を見ると長田がにぃーっと口を曲げて笑う。なんて汚い笑顔なんだ。
「お、おいっ! 何やってる! ?やめろっ!」
 素っ裸のまま健一の身体は何度も空中を舞う。ブランコの勢いは次第に強くなっていく。倉見と長田の息がピッタリで2基のブランコは同じ動きをした。
「あはははっ」
 目の前の六実は冷たい目をしながら健一の痴態を眺めていた。六実の顔が近づいたかと思えばすぐに離れていく。しかし離れてもまたすぐに近づいていく。何度も彼女の顔の前にちんちんが差し出され屈辱感が増して行く。
 すると健一の身体に変化が現れた。
「あれぇ!コイツまた勃起してるよ!」
 稲葉が大声で指摘する。先程よりもちんちんは大きくなっていたのだ。
「わぁ~ほんとだ!おっきしてる!」
 倉見がけらけらと笑った。健一は自分の身体の変化に驚愕していた。何でこんな状況で勃起なんてしてしまうんだ!?
「…この…」
 ふと六実の顔を見るとその表情は怒りに震えていた。
「潰す!」
 ブランコが後ろに大きく振れたとき、六実はタイミングを合わせて健一に向かって走り込んでくる。タイミングよく振り子が返ってきたとき、六実は跳んだ。
 飛び膝蹴りが繰り出される。
「あ、ああ、ま、待て、あー!!」
 バチィィィーン!
「うおぉーlあgdー!?@!」
 六実の右太ももが露わになる。それは見事に健一のちんちんに突き刺さった。健一は気を失った。
 事前に危険を察知していた倉見と長田はちんちんが蹴られると同時にブランコを飛び降りた。衝撃でブランコはガシャンガシャンと音を立てて停止する。
「ふんっ。もう帰ろ」
 六実たちは公園を去っていった。健一は痙攣を起こしたまま、ブランコに揺られるのだった。

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