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Killing ParkⅢ 回旋塔遊戯(3)

「次は何して遊ぶー?」
 倉見が愉しそうにグローブジャングルに寄り掛かった。健一はポールを掴んで何とか立ち上がる。
「まだ生ぬるい…」
 六実は腕組みして考え始める。これをチャンスと見た健一は真上の隙間を狙う。ポールを足場にしてよじ登った。
「あっ上から出ようとしてる!」
 倉見は慌てた。これでは回転させても意味が無い。倉見もグローブジャングルによじ登っていった。健一が抜けだそうとしている隙間に素早く到着した倉見は躊躇することなく彼にヒップドロップを喰らわした。
「うぶっ!」
 呆気無く健一は落下した。足を滑らして球体の中に再び転がる。
「やった!」
「上から出ようってところまでは良かったんだけどねぇ」
「間抜けだな」
 稲葉と長田が嘲笑う。
「痛めつけるだけじゃ駄目なんだ…」
 六実は呟く。自分で言って頷いて納得する。そしておもむろにグローブジャングルの中に入ろうとする。
「六実ぃ、どうすんの?」
「何するつもり?」
 六実は答えずにグローブジャングルの中で健一と対峙する。
「回していいよ」
 六実は倉見に向かって言った。
「は~い」
 倉見は言われた通りに球体をまた回転させ始める。ふらふらとポールを支えにしながら立ち上がろうとする健一は球体の中に入ってきた六実を不思議そうな目で見た。
「な、何のつもりだ?」
「これで対等でしょ?」
 六実は回転する球体の中でフットスタンプを放った。ポー文字色ルを両手で掴んで巧くバランスをとっている。六実の踵は油断していた健一の横っ腹に決まった。
「うぇぇっ」
 健一は膝を抱える。回転は止まらない。吐き気が強くなってきた。六実はそんな健一を見下すように再度フットスタンプを見舞う。それを何発も落としていく。
「うっ! くっ!」
 健一は何とか腕でガードしながら耐えた。これのどこが対等なのか。健一は憤慨した。サシの喧嘩なら絶対に負けない自信があるのに!
 狭い球体の中で六実はポールを巧く支えに使って縦横無尽に蹴りを繰り出していった。顔面と腹や胸を攻撃されて健一は防戦一方だ。ただただ一方的に蹴られるだけだった。健一はぐったりと倒れこんだ。
「もう終わり?」
 回転するグローブジャングルの中で六実はつまらなそうに言い放った。そして掴んでいたポールを離して健一の上に落下する。右足がちょうど健一のおちんちんの辺りに直撃する。
「うぎぇっ!」
 股間を押さえ跳ね上がって暴れる健一。六実は馬乗りになって健一の学生服に手を掛けた。引きちぎる勢いでボタンを外し上着を脱がせていく。健一は何をされているのかを瞬時に把握した。
「な、何しやがっ…」
 シャツも同じく強引に引っ張られて破ける音が響いた。健一は抵抗しているつもりだった。しかし目が回っているのか身体の自由が利かなかった。
 いくつかボタンが弾け飛んで上着とシャツが強引に脱がされた。アンダーシャツは一瞬ですぽんと脱がされる。あっさり上半身が露わになった。
「お、おい!」
 健一は抗議するが六実は聞いちゃいない。
「返せっ」
「脱がせっ脱がせーっ」
「脱がされてるのに全然抵抗しないなコイツ?」
「六実に脱がしてもらって喜んでんじゃねーの?」
 健一はもちろん抵抗しているつもりだ。だが右手を動かそうにも右手に力が入らない。足は自分の足じゃないような感覚だ。六実は健一のベルトに手をかけてシュルルッと外した。ズボンのジッパーを下げて強引に脱がそうとする。
「やめっ…」
 健一は必死に脱がされまいとズボンを掴んで抵抗した。子供たちや犬の散歩をする老人のいる公園の中で服を脱がされるなんて屈辱なんて言葉では済まない…。
「あっ…」
 だがズボンと一緒にパンツも引き下げられてしまった。六実の目の前に健一のおちんちんが晒された。それにも六実は無関心でズボンを脱がすことに躍起になっていた。靴が邪魔だったがそれも片手間に一緒に脱がしてしまう。靴は球体の外に放り投げられた。健一はズボンを尚も掴んで離さない。靴下以外ほぼ全裸なのにおちんちんを隠すこともせずにズボンに執着した。それが奪われれば身を隠すものが無くなってしまう。
 全裸の健一と制服を着た六実の二人の間で綱引きが始まる。だがそれは2秒で決着がついた。ズボンとパンツは健一の手からすっぽ抜けてしまったのだ。ズボンもパンツも奪われた健一はグローブジャングルの中で転がった。
「ぎゃははっ女子に脱がされて素っ裸じゃん!」
 長田が腹を抱えて嘲笑った。
「あははっ」
 倉見はずっと回転させて遊びながら笑った。
「ぷっ。ちっさいよなコイツ」
 稲葉は腕組みして余裕たっぷりの笑みを浮かべる。
「ふんっ」
 六実はおもしろくなさそうに健一から奪った学生服を丸めて球体の外に出した。それを見て倉見は回転をゆっくり止めていく。
「おもしろかったね」
「まだよ…」
 六実はグローブジャングルの外に出る。少しふらつくぐらいで目が回って倒れることはなかった。
「輪投げ持ってきたでしょ? 最後にあれで遊んだら帰るよ」
 輪投げだと? 何を言っているんだ? 回転が止められても健一から見える世界は縦横無尽に回転が続いていた。立ち上がれそうにない。ぐるんぐるんと回る世界で健一は恐怖を感じるのだった。

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