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肝試しで(9) 〜イケメンなのにビビってお漏らししちゃった〜

 股間に冷たい土がかけられた。

 おちんちん周りが埋もれていく。ひんやりとした感触が気持ちいい。そんなことを言っている場合ではないな。俺の渾身の懇願も虚しく土葬寸前…。だが子どもの頃に土遊びした感覚が蘇るのだ。懐かしく楽しい。不思議と安心感もあった。俺までぼーっとしてきた気がする。それにプラスして熱り勃った硬いおちんちんが冷やされてモノ凄く新鮮な感覚だ。こんもりと土で周りを固められて誰かにパンパンと舗装されていく。この何かに包まれるという感覚は童貞なので想像するしかないのだが、女子のアソコはこれより気持ちがいいのだろうな…。

 ビクッと肉棒が跳ねた。


「土の中でなんか動いたよ。ビクッてなった」

 結に笑われた。

「この子なんかアヘ顔になってる~」

「よぅし! もっと埋めちゃえ!」

 足で抑えながら愛流が調子に乗って土をどんどんぶっかけてくる。


 一つ歳下の女子たちが全裸…。4人ともすっぽんぽんで架空のヌーディストビーチを楽しんでいる。女子だけでなく男子2名もフルチンで土をかけることに夢中だ。顔まで埋められることはないと思っていたが、どんどん埋められてきた。鼻だけ出された状態で埋まっていって土が重くなる。まだ自力で脱出できるが例えばこのまま誰かが上に乗って抑えつけてしまったら身動きができないぞ。

「もっとかけろーい! ひゃっひゃ!」

 ヤンキーであるリーゼントとロン毛の男子はやりかねない気がする。リーゼントたちは普段からいじめている対象にそれくらいのことをやってきたのではないか。俺をその誰かと勘違いしていて埋めているわけだが、黙って遊ばれてやるつもりはない。そんなの男のプライドが許さない。こんな舐められたことをされて黙っていては男じゃない!


 びくんっ

 ばこんっ


「あ、突き破った! チンぽこ、びくんってなってる!」

 目つきの悪いショートカットの女子がケラケラと嘲笑う。なんだか股間が空気に触れているようだ。固められた土が陰茎の跳ね上げで破壊されてしまったらしい。

 

「あらあら、おちんちん出ちゃったわね」

 美由紀の指摘に羞恥が煽られた。全身が土に埋められているはずの俺はバキバキに勃起した肉棒だけを外に放り出している状態なのだ。

「きゃははっ。血管浮いてるし。どんだけ元気なのよ!」

 びくんびくんっ。

 立派にそそり勃つ肉棒が注目されてる。

 土に包まれていた安心感はなくなり、再び空気中を漂う熱い肉棒。女子たちは指差して笑う。恥ずかしいアソコだけを出されて勃起状態を観察されるのは屈辱を感じる…。全員が同じ裸だけど、顔が埋められている俺は彼女たちの裸を堪能できない。同時に女子たちは裸を俺に見られないまま、おちんちんだけを高みから見ることができる。俺だけが一方的に見られちゃう状態なのだ。みんなより一個歳上のお兄さんであるにも関わらず、格好悪く情けない醜態だ。


「なにこれ~ ガマン汁ってやつ?」

「土に埋められて感じてんのか!?」

「あらあら、やーね~」

 オバケメイクの3人から虚仮にされた。


「どれどれ?」

 ショートの女子が意地悪く指で先っちょを突いてきた。ぬちゃ、ぬちゃちゃと指でガマン汁が塗り拡げられた。くちゅくちゅと尿道口が湿っていく。俺は『あぇっ? あぁっあっっ』と身を捩らせた。敏感になっている性器に爪を立てられて尿道口を弄られる。

「こんなにやらしいお汁、いっぱい出しちゃって! S3年生の割にエロい子! このまま射精させっかなー」

 ヤンキー女らしく積極的に責める。


「まだ精通してないと思うわよ? でもさっき何か出てたわねぇ。白いの」

「マセガキだよねー」

 美由紀と愛流が笑いあった。結は未だに何のことか解っておらず黙って聞いてる。恥ずかしそうな表情が目に浮かぶぜ。


「よしここも埋めるべ!」

 リーゼントの宮永というやつが俺の鼻を埋めだした。一瞬の内に息ができなくなる。さすがに俺は暴れた。表面に土をかけられたくらいなら自力で脱出できるはず。

『あれ…?』


 身体が動かなかった。


 金縛りにでもあったみたいに…。


 温かいのか冷たいのか解らない土の中に俺は葬られたのだ。

『むごー!!?』

 いつしか全力で暴れていた。しかし身体は言うことを聞かない。勃起した陰茎を晒したまま、それを女子に見られながら俺は死ぬのか?

 そんな死に方、嫌だ!


『希空…? そうだ、希空~!? 何してるんだ!? 早く助けへぇ!』

 声も出ないのに俺は泣き叫んでいた。年端も行かぬ子どもに助けを求める大きいお兄さんがこの世にどれだけいるだろう? 大の男が情けない。

 土で鼻が覆われて1分と経っていないのに俺は大パニックだった。

 余裕だと思っていたのに…。


「お兄ちゃんが悪いんだからね」


 うふふうふふと耳障りな嘲笑が境内にこだましていた。



 夏休みの暑い日、なんでもない一日。

 希空は白いワンピース姿で野山を駆け回って遊んでいた。

 程よく日焼けして恥じらいも邪念もない無垢な少女。

 セミが煩い。

 神社の境内だ。

 希空が遊びから戻ってきて境内の入り口で立ち止まる。様子が変だ。いつも楽しかった日常は消えてしまったみたい。社殿の中に恐る恐る入ると大好きだった姉たちが裸で倒れているのを見てしまった。

 お父さんは奥で血を流して横たわっている。

 立っているのは希空と、見知らぬオジサンだけだ。

「お嬢ちゃんもこの家の子か? そうかそうかー」

「おじさんなんで裸なの?」

 涙を堪えてそんなことを訊いていた。


「まだそんな歳じゃないよ。お兄ちゃんと呼びなさい!」


 熱り勃ったおちんちんが迫ってくる。

 希空は竦んで逃げられなかった。


 俺が最後に見たのは映画のワンシーンのようなそんな場面だった。

「やめろー!」

 ただ叫ぶ。

 俺はそのフィルムの中に干渉できないのだ。既に撮り終えた映画に何を言っても無駄だ。目を逸らすしかない…。


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