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Killing Park 鉄棒遊戯(3)

「解った。謝らないのなら態度で示して」
 六実は冷たく言い放つ。健一は態度と聞いて顔を上げた。この格好で何を示せというのか。六実は勝ち誇った表情をしている。長い黒髪が風に揺れて綺麗た。泣き腫らした顔を見られるのはこんなにも屈辱なのか。健一は目を逸らす。
「今から前回り1000回やって」
「!?」
 何を言っているのか解らなかった。
「やれ~。回数は自分で数えろよ」
 長田が大口で笑った。
「ハハハッフルチンで前回り!」
 稲葉が腹を抱えて笑う。
 健一は戸惑う。
「1000回やり遂げたら許すかも知れない。さあ早くして。たくさん人が集まってきちゃう」
 六実の言葉を聞いて周りを見渡す。少しだが人影があった。公園なのだから当然、子供たちも居るし老人の姿もあった。今までまったく気付かなかった。1つ下2つくらい年下の女子もいる。遠巻きに誰も彼もこちらを見ている。
「早く終わらさないとずっとこのままだけど?」
 健一は悔しくて謝罪の言葉を言えなかったが、今言えば許してくれるかも知れない。
「すい…ません…でした」
「は? 何か言った? 1000回終わってからでないと何も聞こえないんですけど?」
 完全に支配されていた。いくら強がっても全裸で4人の女子に囲まれた時点でもう負けていたんだ。健一は諦めた。誰かが通報してくれるのを待って解放されるのを待つのも道だが、六実の弟をいじめていたことが発覚して、結局追い込まれるのは自分だ。
 健一は力を込め鉄棒を握る。地面を蹴って前回りを始めた。
 1回。少女たちはまたしても笑っていた。
 2回。鉄の棒が腹にあたる時、ちょうど彼女たちの目線の高さに自分の股間が来る。自分の性器を女の子の前にただただ晒すのだ。
 3回。連続で回れないので健一は一々地面に足をつく。その度にペニスがぶらんと揺れる。4回…5回…。クスクスと笑われながら続けた。
「ほらあ数えろよ。何回やったか解んないから始めからなー」
「いぃち、にー…」
 健一は言われた通り始めから数え直すことにする。何度目か回った時、倉見が「あれぇ」と声を上げた。
「なんかちんちん大きくなってるよ?」
「ぅわっマジだ。勃起してやがるコイツ!」
「えー?何で? 何で勃起?」
 彼女たちは驚きと嘲笑の混じった声を口々に言い合った。
「信じられない。コイツ反省の色が見えない」
 健一は混乱した。自分でも何故勃起しているのか解らなかった。彼女たちの声を無視して回り続けるしかできない。ただ力に屈して言われるがままに従うだけのこの状況が悔しい。両手が自由に使えれば女子なんかに負けないのにとも思う。1対1なら…。涙が溢れる。涙が止まらなかった。
「最っ低。もういい。やめて。馬鹿みたいに回るのやめて」
 20回近く回った時だ。健一は回るのをやめた。六実は小声でまた稲葉たちに司令を出した。彼女たちは素早く動き、足の拘束が解かれる。しかし解放されたのもつかの間、今度は鉄棒の支柱の方に足を括りつけた。
 開脚した状態で固定されたのだ。
「な…にを…?」
 大股開きだ。地面に足がつかなくなる。不安が増した。
「ハッハッおっぴろげだ~」
「情けねえ格好。ホントに喧嘩強いのかお前?」
「写メ撮っとこ」
 ニヤニヤと長田たちが笑う。ただ一人六実は健一を睨みつけたまま。後退って距離を取る。何をされる? まさか? いや、そのまさかだった。
「金玉つぶしだ!」
「まだ勃起してるコイツ!やっちゃえっ」
「つぶれろ~」
 六実は十分に距離をとって全力で走り込んできた。走り幅跳びでもするかのように跳んで、振り上げた足を高速で振り切る。
「うアァアァ!!!」
 バチンッッ!と弾ける音。あまりの痛みに思考回路が止まった。
 「いった~」という倉見の声。大笑いする稲葉と長田。健一の身体は痙攣していた。
「あっあっぁぁ」
「…。まだ大っきい…。反省してない…?」
 六実は健一のペニスを摘んで間近で観察した。クイックイッといろいろな角度で見られている。袋のほうを軽く揉みしだくように握られる。
「ぅおぉっ」
「駄目だこいつ。気持ちよがってる。みんなでめちゃめちゃに金玉蹴っていいよ。こいつが反省するまで続けていいよ」
「よぉし私からやる!」
 長田が手を挙げる。
「膝蹴りしてやるから!」
 稲葉が準備運動を始めた。
「おもしろそ~。ちんちんがちっさくなるまで蹴っていいの~?」
 倉見はただ楽しそうだ。
 彼女たちによる私刑は続いた。
「それ~!」
「いたいーっ。イギャー!ごえんなさいぃ!やめてー!お願いやめてぇ!」
バチンッ!バチンッ!
 蹴られる度に声を上げる健一。身を攀じっても揺らしても拘束はビクともしない。やがて彼が失神するまで何度も私刑は執行されるのだった。


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