一年戦争で(10)
放課後の体育館にこそこそと人が集まってきた。 普段はザクロたち高学年の女子バレー部が使用しているところだ。「やっとこの日が来たよ」 レモンが口元を上げた。だが目は笑っていない。 バレー部のキャプテン、ザクロがゆっくりとバレーボールをついていた。館内に音が響き渡る。 今日は夏休み前の職員会議の日。 年に数回あるもので、今日は16時から予定されている。従って顧問の先生は本日の練習に参加できないのだ。生徒だけで自主練習を命じられている。「たくさん来てますねぇ」 何が始まるのかと期待するバナナがザクロに話しかける。 バナナは一学年後輩のバレー部員だ。サイドポニテでまん丸の目がかわいい。茶髪がかって見える髪色は生まれつきのもの。天然系のほんわかした雰囲気で男子たちからは人気がある娘だ。「公開処刑だからな」 ザクロが淡々と返す。「練習したいんだけどなぁ…」 少し口を尖らせて不満そうなチェリーがレモンの隣でつぶやいた。バナナと同じく後輩で、彼女は細いくびれの割に大きなお尻と先輩たちなんかよりも大きく成長したおっぱいが魅力的だ。厚めの唇に切れ長の目。長めの髪をゴムで縛りまくって運動の邪魔にならないようにしていた。バレー部の時期エースが噂されるほどの娘だ。 2組の女子はほとんど集合している。バレー部のザクロとレモンはもちろん、友達のリンゴ派、2組のリーダーチームのピーチ派、級長であるイチジク派。 そして連れて来られただけのモブ子ちゃん派のスイカ。 バレー部の部員は1組と3組、そして4・5年生を合わせて30名近くもいる。さすが強豪校だね。 バレー部以外では1組と3組からも女子が数人やってきていた。この戦争に参加する意志のある女生徒たちだ。当然イケメン黄金コンビ、ツバメ&ハヤブサのおちんちんが大写しにされた写真やラブリーなつぐみちゃんのブリーフを脱がされた情けない写真を見ていることだろう。 女子軍が優勢であるという大本営発表に、それなら自分も参加してみようと名乗りを上げたわけだ。 まったくイヤラシイ女子たちだな。 逆に負けてる男子軍はその事実を恥ずかしくて言えないから援軍の期待も薄いんだ。悪循環と言うしかない。「さぁ時間ですわ」 映画監督のようにパイプ椅子に腰掛け、美声を館内に響き渡らせるピーチ。「男子軍は来ませんでしたね。それでは今から捕虜たちの処刑を始めますわ」 ピーチが立ち上がる。その動きに合わせて、「はーい」とみかんがどん帳を上げるスイッチを押した。 どん帳がゆっくりと上って舞台上にはチキンとバードとそして僕の姿があった。もちろん三人共ブリーフ一丁だ。 軽快な曲が流れ始める。 女子たちの歓声が上がった。 僕たち三人は曲に合わせて激しい踊りを披露するのだった。「こいする〜♫」 流れてくる歌に合わせて歌う。「ふぉう♪」 こんなに大勢の前で何かするのは学芸会以来の緊張感だ。ブリーフ一丁に慣れ始めていたところなのに、他のクラスのあまり顔を合わせてない女子や初めて会うかもしれない後輩たちの前で、情けない格好をして歌って踊って…今までの比ではないくらい恥ずかしかった。「ちゅんクぅーキぃー」 全力で踊る三人組を見て女子たちはケラケラ笑っていた。手を叩いて「いいぞ〜」などと茶々を入れてくる。 去年まで同じクラスだった1組の女子は久しぶりに見た僕の姿に涙を流して笑っているよ。 あどけない顔のきょとんとした後輩やませた表情で笑っている後輩もいる。 くそっ。 年下の女子の前でこんなことさせられるなんてっ。 屈辱過ぎて涙もでねぇ。 曲が終わって三人で決めポーズする。 バードなんかピシっと指先を伸ばして悦に浸った表情をしていた。やりきった感がすごい。 だがまだ終わっていない。僕たちが練習させられた曲はもう一曲あるんだ。 それを踊ってから、その後に公開処刑という段取りだ。大勢の女子の前でブリーフを無理やり脱がされて、恥ずかしいおちんちんをみんなに見られてしまうんだ。 拍手が鳴り止んでピーチが歩み出る。「良かったわ。あなたたち、じゃあ、次は全裸でやってもらおうかしら」「…え?」 僕はピーチが一瞬何を言っているのかわからなかった。次はぜんらでって言ったのか? 何をやるんだ? まさか…。 レモンが舞台にとよじ登ってきた。 ブルーベリーとメロン、みかん、そしてバナナとチェリーが後に続く。 レモンとみかんは僕の前に。ブルーベリーとメロンはチキンの前、後輩二人はバードの前に立った。 初めから打ち合わされていた動きだ。「えっえっ!? ちょ…ちょ…ちょ…」「なんだよ? えぇ!?」 僕とバードは動揺が激しかった。「ひぃー」 チキンは屈みこんで頭を抱える。「戦死した状態で踊ってもらうと言いましたのよ。その方が盛り上がると思いましたの」 ピーチは目を細めてゆっくり舞台に上がってきた。「き…