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Killing Park 鉄棒遊戯(1)

 これが罪の代償なのか? 健一は逃げ場を失ってしまった。こんなはずじゃなかった。一人のところを彼女たちに襲われたのだ。不意打ちを食らってリンチの制裁を受けた。健一は何とか残った力を振り絞って脱出し走ったのだが逃げきれず誘導されるようにして公園に逃げ込んだのだった。
「観念したらどう?」
「もう逃げられねーし」
 ライオンのメスが狩りをするかのように彼女たちは常に集団で動き相手を追い詰めていく。そのグループは4人。前方からは華奢な癖に格闘センスのある六実。両サイドからは身長の高い稲葉とガタイがしっかりしている長田。足を使って逃げ場を健一の逃げ場を塞ぎ翻弄してくる倉見。絶妙のチームワークだった。
「六実~、こいつ大したことないんじゃない?」
 ショートカットの倉見はケラケラと健一を指さして笑う。
「くっ」
 健一はその隙を狙って逃げ出した。しかし倉見は油断していたわけではない。しっかりと健一の動きに反応し前方を塞ぐ。制服のスカートがひらりと揺れ動いたと思うともう間近まで迫ってくる。俊敏性が非常に高い。この公園は彼女たちよって完全に包囲されていた。
「弟をいじめたお礼、たっぷり返してあげる…」
 小柄なくせに何という威圧感だ。健一は迫ってくる六実の声に悪寒を感じた。
「ちっ」
 逃げ場がない。健一は振り向いて六実と対峙した。
「上等だコノヤロウ!」
 健一の反転攻勢。六実に向かっていった。六実を殴りつけて逃亡すれば良い。所詮は女だ。男の腕力に叶う筈がない。リーダー格さえ倒せば指揮系統を失って稲葉も長田も倉見も諦めるだろう。
「覚悟しろ!!」
 六実に殴りかかる。しかし健一は次の瞬間、宙を舞う。腕を掴まれ投げられたようだ。
「お!?」
 健一は地面に叩きつけられた。どうなったのか自分では理解できなかった。
「さ、手伝ってみんな」
 稲葉と長田が駆け寄ってきて健一の腕をつかむ。強い力で強引に立たせる。
「じゃ今日はこれでお仕置きしようか?」
 六実が指さしたのは鉄棒だった。健一は引き摺られるようにして鉄棒のある所へと連れて行かれた。
 そして六実は有無をいわさずビンタを健一に食らわす。往復で1回、2回…10回と続けられた。小さな手なのにどこにそんな力が? 見る見るうちに健一の頬が赤く腫れ上がる。
「ウゴ…」
「七太が味わった苦しみ、こんなもんじゃ済まないからな」
「健一くんかわいそ~」
 一人手持ち無沙汰の倉見は言いながら鉄棒で遊びはじめた。
「謝ってよ」
「んぇ?」
「弟に謝って」
 六実の目は真剣だった。健一はお構いなしに逃げ出す隙を伺う。掴まれた腕を振りほどこうと身体を動かすがピクリとも動かない。目の前の六実に蹴りを入れてやろう思うがいつの間にか稲葉と長田に足を踏まれていた。
「謝る気がないなら反省してもらう」
 六実は健一のシャツに手を掛ける。ボタンを上から一つ一つ外していく。
「おい? …な、何…? 何やって…?」
 シャツを托し上げてボタンを全部外してしまった。そしてベルトをカチャカチャ外す。
「おい!何やってんだ!」
 健一は渾身の力を込めて身体を揺する。脱出を試みる。しかし稲葉、長田両名に抑えられた4点は杭を打ち付けられたかのように固められている。
「てめー!」
 健一は六実につばを吐きつけて抵抗する。
「うわっ」
「うおー汚いこいつ!」
 稲葉、長田が非難の声を上げる。だが六実は気にせずにズボンを脱がしにかかった。ストンと落ちる。あっさりとアンダーシャツとボクサーブリーフだけの格好にさせられた。
 六実は目で稲葉と長田に合図する。二人はそれを頷いて了解した。六実は冷ややかな目で健一を見つめ、他の少女たちはニヤニヤと笑いを浮かべる。
「倉見」
「は~い」
 呼ばれた倉見は鉄棒で遊ぶのをやめてカバンから頑丈そうな麻紐を取り出す。六実はハンカチでつばを拭っていた。
「お、おいお前ら何しやがる!」
「鉄棒掴めよコラお前」
 鉄棒の高さは頭を超えている。稲葉と長田によってバンザイさせられ鉄棒を掴む格好となった。倉見は可笑しそうに笑って紐を使って手首を固定しようとしている。
「くそっ」
 どこにそんな力があるんだ? 健一がいくら逃げ出そうとしても彼女たちの握力や腕の筋肉に敵わない。鉄棒に固定された健一はこの過程でシャツを腕から抜かれ、ズボンを足から引きぬかれた。出来うる限り暴れたつもりだが、抵抗虚しく鉄棒にぶら下がる格好となってしまったのだった。


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