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妹の前で(2)

「やーい」
「てめー」
 バスタオルを奪い返そうと俺は片手を伸ばす。だが腰が引けてしまって届かない。背が低いのに俺の手は届かない。寛子が掲げたバスタオルは勝名乗りを上げる御旗のようだ。
 何だこの負けた感!
「こらやめろ馬鹿!返せ」
「ばーかぁ。ちんこ丸出しー。やーい」
「ガキかてめー」
 駄目だ、寛子は今、絶対に折れないわがまま末っ子モードだ。今まで勝てた試しがない。俺は丸出しのまま自分のベッドに走って布団を腰に巻き付ける作業をした。その間も寛子は俺のことを馬鹿にしながらバスタオルで尻を引っ叩いてきた。
「くそー!てめー、覚えてやがれ!」
「キャハハッ」
 妹の前で素っ裸でイジられる兄ってなんだ!恥ずかしすぎる!
「兄ちゃん顔真っ赤っ赤ー」
「うるさいっ」
 寛子は今度は布団の反対側にまわり端を持って引っ張ってくる。
「わっコラ!やめろ。やめろって!」
 腰が引けてることが災いしてか妹の力にあっさり負けて布団をするするっと持っていかれてしまった。
「ちんちん見えたー!キャハハッ」
 妹の前で再び全裸となった。くそっ。俺はいよいよ自分の枕を使うしかなくなった。自分の枕に股間をくっつける日が来るとは!
「返せこの!」
「やだー」
 布団とバスタオルを持って逃げる寛子。俺はすぐ追いついてバスタオルを奪おうとする。しかし両手を使える相手と、枕を抑えたままの片手の俺じゃ勝ち目なしだ。こいつ意外に力が強いし。
「だめっ兄ちゃんはちんちん丸出しでいればいいのっ」
「なっなんてこと言うんだ。んなこと誰に教えられた!」
「姉ちゃん」
「な!?」
 うりゃーっと寛子は俺の隙を見てバスタオルを引っ張る。俺は引っ張られて前のめりに躓く。転んだ。
 無様だ。妹に転ばされるなんて。こんなこと初めてだ。悔しい。それにも増して姉ちゃんだと? 姉の策略か!服を隠したのは奴か!
「アレー? 兄ちゃん、ちんちんおっきしてるぅ」
「なにっ!?」
「いやー…」
 な!なんということだ。見事にフル勃起じゃないか。どっどっどういうことだ? なにに興奮したと言うんだよ!俺は両手で股間を隠す。
「やらしー、お母さんに言ってやろ~」
「えっ、やめろ、馬鹿っ」
 寛子は部屋を出ていこうとする。そして階下に向かって叫び出すであろうことは経験則で解るので、俺はすぐさま立ち上がり寛子の口を両手で塞いだ。
「んぐー!」
 叫ばれでもしたら親が上がってくるではないか! それにしてもどうしたものかこの状態…。全裸で勃起して妹の口を塞ぎ、妹は泣き叫んどる…。
「お願いだから静まれこの馬鹿っ」
 寛子の悪巫山戯なんだろうが、今回のは姉の入れ知恵か知らんが群を抜いているな。やっぱり服を隠したのはコイツに違いない。寛子は暴れ、かかとで俺のすねを蹴ってくる。
「イテッ、クソッ、俺の負けだ寛子。お願いだから服返して…」
「んん」
 すると寛子は大人しくなった。俺は慎重にゆっくり手を放す。くるりと寛子は俺に向き直った。素っ裸の俺と服をちゃんと着た妹と正面から向き合う。
「えい」
「んぐっ」
 それは唐突に突き刺さる。寛子の力加減を知らない鋭い蹴りが俺の股間に突き刺さった。
「妹の前で勃起なんてするからだよ」
 俺はうずくまり、痛みを堪えて内股になり、股間を両手で抑えた。声が出ない。
「えいえいっ。へへへ硬いね」
 寛子は足で俺の手の上から構わずに股間を遠慮無しに蹴りつけてくる。痛みが増す。
「いぐいがいぐい」
「お仕置きだ!えいえいっお仕置きー!」
「やめ…」
 手の上からでは俺へのダメージが少ないと思ったのか、寛子は俺の両腕ぐっと掴み、開かせた。力を込めて抵抗したつもりだが、妹の力は強かったのだ。股間が丸見えになる。当然勃起は収まらないままだ。
「もうっ!まだおっきしてる!」
「あ、やめ… 見るな…」
 妹の前で勃起したモノを惜しげも無く見せてしまった。
「こうだ!」
 寛子は思い切り足を振り上げ、振り子打法の要領で俺の股間を蹴りあげた。
バッチーンといい音がして俺の意識が遠のく。
 俺は大の字の倒れる。寛子は肉棒をグッと掴んだ。露出した亀頭を平手で打つ。
「もうお行儀の悪いおちんちんっ」
 そして今度は玉袋のほうをニギニギと握る。
「大丈夫。潰れてないみたい。また悪いことしたらお仕置きだからね!」
 最後に肉棒を思い切りバチンッとビンタした。
「う…う…」
「あー楽しかった。服は全部庭に捨ててあるからねぇ。自分で拾ってきてねえ」
 寛子はバスタオルを持って出ていってしまう。俺は動けずに快楽にも似たトリップ感を味わっていた。
 妹に完敗だった。


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