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スイミングスクールウォーズⅡ(1)

 功は以前の授業で赤っ恥を掻いた。もうあんな恥ずかしい思いはしたくないと思っていたが、授業はサボるわけにもいかず、みんなが早く忘れてくれることを願った。しかしアイツちんこ勃起していたぞという噂は功の耳にも聞こえてきていた。影で噂されているかと思うとみんなの視線が怖かった。そしてとうとう功のギリギリ保っていたプライドが完膚なきまでにズタズタにされる出来事が起こってしまった。
 授業が終わって更衣室に帰ってきたときだった。心なしかニヤニヤとみんな笑っているみたいだ。あれ以来ずっとそうだ。放っておくしかない。さて着替えるかとバスタオルを取る。
「お前こないだちんこ勃ってただろ!」
 いきなり大樹が功に声をかけてきた。今年の4月に入校してきた男の子だ。大声で周りに丸聞こえだ。
「な、なんだよ? いきなり」
「この間の平泳ぎの練習んとき、コイツちんこびんびんだったんだぜっ」
 大樹はニヤつきながら仲間に言いふらした。大樹は功の2コ下で身長も水泳の実力も功より下だ。それなのになんて生意気な奴なんだ!
「お前コラ! なに言ってんだ!? へんな噂振りまくな!」
 普段は大人しい功だが、ここは歳上らしく後輩を指導してやろうと思った。確かにちんちんが勃起してしまったのは本当のことだが、ガキが下ネタで盛り上がりやがって、鉄拳制裁を加えて後悔させてやる。功は拳を握った。
「あー知ってる知ってる。てか同じクラスのみんなもう知ってるって」
「おぉ平泳ぎの練習のとき思いっきり勃ってたな、この人」
「なんであの場面で勃起するんだよ? ひゃははっ」
「女子にも思いっきり見られてたなぁ」
 大樹の周りにいた同期生の男の子たちが口々に笑い合う。隆史と一太、特に大樹と仲良くしている奴らだ。大樹の一言をきっかけに、今まで歳上だから大きな声では言えないでいた、といったところだろうか。せきを切ったかのようにクスクス笑いが大きくなってきた。
「うるさい。お前ら! 生意気だぞ! 歳上に向かって!」
「関係ねーよ。ちんこ勃たせてた癖に!」
「バカ! そんなわけねぇだろう! てめーらの見間違いだ!」
 これ以上他のクラスの連中には噂を広めたくない。
「なにコイツ、必死だな」
 大樹が周りに同意を求める。更衣室にいた男子たちが注目し始める。
「お前歳上に向かってその口の聞き方は何だ!」
「歳上とか強調すんなよ」
「生意気だよな。ヒョロヒョロのくせに」
 隆史と一太も大樹に加勢する。
「ちっバカが!」
 功は大樹の肩を強めに押した。
「いてーっ。コイツ暴力振るいやがった!」
 それがきっかけとなって周りが「やり返せ」だの「先生にチクッてやる」だのと火が着いてしまった。
「コイツとか言うな!ガキが!」
「うるせー。ちんこ勃起させてた癖に生意気!おいコイツ脱がせちまおうぜっ」
 大樹はにやりと余裕の態度で功に迫った。大樹の提案に隆史と一太が賛同する。
「なっヤメろ! このっ」
 大樹が素早く功の競泳水着に手を伸ばしてきた。功は腰を引かせて防御した。すぐ後ろがロッカーで逃げ場がない。正面の大樹を避けるために左右どちらかに逃げ出すか。
 しかし隆史と一太が功の両側から回り込んだ。功は逃げ場を失い大樹に捕まる。
「くそっ!」
「脱がせっ!脱がせっ!」
 大樹は功の水着に手をかけて力を込める。こんなガキにやられる筈がないと功は思っていた。大樹が功の水着を下にずり下げようとする。だが紐を結んであるから簡単には脱がせられない。さらに功は大樹の両手首を掴んで脱がされるのを防いだ。
「はんっバカが!」
 功は前蹴りをして距離を取ろうと試みるが大樹は食い下がった。隆史が横から割り込んで脱がすのを手伝う。功はとっさに隆史の腕を掴むがこれでは戦力が分散してしまう。そこへ一太も参戦して水着を乱暴に引っ張った。
 結んであった紐がビッと音を立てる。引きちぎれそうだ。
「この!ヤメろ!!」
 紐が緩んだ。脱ぎやすいようにチョウチョ結びだったからこのままではまずいかも知れない。功は自分の水着を掴む。脱がされないように防衛しなければ!
 しかし3対1では勝負は見えていた。がんばって筋力トレーニングして鍛えた腕も三人がかりのガキには叶わなかった。更衣室内のみんなが見ている。どよめきか歓声か野次か知らないが投げかける。誰も功を助けないし、仲裁にも入らなかった。
 大樹がシュッと紐を素早く緩めた。ここからはワンサイドゲームだった。水着がビッ!ビリッ!と嫌な音を立てる。功は徐々に力負けした。守りの手薄なお尻が露出する。大樹たちの攻撃の手は緩まず、水着を強引にグイッグイッと引っ張った。一気にずり下がる。
「よしっ!」
 ついに水着は膝まで下げられてしまった。
 そこで大きな笑いが起こる。功のちんちんが丸出しになってしまったからだ。功はバランスを崩して転ぶ。こうなったらもう功の防御は意味を成さなくなった。辛うじて自分の水着を掴んではいるが6本の腕が巧みに功の手を力尽くで引き剥がす。とうとう功の握力が失われ水着から手をスルッと離される。大樹と隆史に片腕ずつ拘束された格好になった。守り手が居なくなった功の水着は一気に足首から引きぬかれてしまったのだった。

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