屋外でパンツ一枚だけの恥ずかしい格好にされた健一。彼は腫れた顔をさらに赤くした。
「どうなの? 何とか言いなさいよ」
六実は何も言わない健一に舌打ちをして、掴んでいた髪を離した。その反動で地面に頭を叩きつけられる。
健一は朦朧とする意識の中で、六実が立ち上がってブランコに座るところを見た。その際にスカートの中身がちらりと見えた。桜色のパンツだ。
六実は普段は大人しそうな奴だ。黒髪で真面目な純白の下着を身に着けていそうなイメージがあった。あんな可愛らしいパンツを履くんだぁ…などと健一は思った。
そんなことを思っている間に稲葉と長田に両脇を抱えられて立ち上がっていた。
六実がブランコで遊び始める。
「ごめんなさいも言えないの?」
「…」
六実は謝罪を要求している。謝るものか…。女に諭されて、格下相手に頭を下げるなんて健一のプライドが許さなかった。
「黙ってるってことはもっと痛い目みたいってこと?」
ブランコで遊びながら六実は言い放った。健一のことを下に見ている。許せない。
「誰が…」
頭に血が上ったが、健一は自分の情けない格好を考えると強くは出られなかった。このまま吠えたらただの負け犬の遠吠えにしか聞こえない。
「なぁに? なんか言った? 聞こえない」
黒髪をなびかせて、だんだんとブランコの振り幅が大きくなる。人をこんな格好にさせておいて、自分は遊ぶだけ。怒りがこみ上げてきた。
「ねえ、そろそろやっちゃおうよ」
倉見は隣のブランコに座っていた。つまらなそうにしている。
「さっさと謝れば早く終わるのに…」
六実はブランコにさらに勢いをつけ出した。
「やるよ」
「やったー」
倉見の顔が明るくなる。無邪気そうな顔だ。
「しっかり抑えてて」
稲葉と長田が目を合わせて頷く。何だ…? 不穏な動きだ。訝しんでいる健一をよそに稲葉と長田は協力して健一の足を持ち上げた。ガッチリと固められた状態となる。これでは身動きが取れない。健一は焦った。
「暴れるなって」
「往生際の悪いやつぅ」
健一は当然、身を捩って脱出を図ろうとする。何をされるか解らないからだ。しかしコテで固められたように身動きが取れない。稲葉と長田は徐々に移動をしながらポジショニングをする。健一は稲葉と長田を交互に見ながら「やめろ!」と抗議をした。聞き入れられないまま、やがて二人はブランコの前に立つ。
ブンッ!
目の前には勢い良くブランコに乗った六実が迫ってきた。健一の顔に風が当たる。危ないっと健一は思った。ギリギリ当たらない距離だ。ブランコが離れていくと同時に六実のスカートが翻る。もう少しでパンツが見えそうだった。
「お、おいっ!」
稲葉と長田コンビはもう一歩ブランコに近づいた。
「あ、あ、危ないって! マジで当たる!」
健一は焦った。六実が、ブランコが勢い良く接近する。六実は足を伸ばした。仰け反る健一の鼻先を掠めていく。
「うああっ!!」
「あはははっ」
倉見は一人楽しそうだ。
六実が離れていく。振り子でまた迫って来る。それの繰り返しだ。健一は大いに喚いた。
「お、お前らいい加減に…」
「距離感掴めたよ」
「…は?」
「合図するから、そしたら二歩前進ね?」
「OK」
六実と稲葉が謎のコンタクトを取る。
「何言ってるん… まさか…」
「よし、来てっ」
六実の足がまた健一の鼻先を掠めると同時に合図とやらが放たれた。ブランコが離れていくのに合わせて稲葉と長田が前進する。
「お、お、お、オイッ!!」
ブランコは勢い良く迫ってくる。このままでは当たってしまう!
「うあー!」
六実はブランコの上でほくそ笑んだ。
「やめろー!!」
六実の足が折り曲げられたまま迫ってきて、健一に接近したところで勢い良くしならせた。それはちょうど健一の股間のあたりを狙ったものだ。六実のすねが健一のちんちんに見事にヒットした。
パンッ!
「アウアッ!!」
健一の身体が浮き上がった。それを両サイドから稲葉と長田がしっかり抑える。ちんちんを蹴られて痛烈な痛みに脳を支配された。
ブランコはそれでもまだ勢いを失わず離れていって、そしてまた戻ってくる。
「え、えええー!?」
パンッ!
小気味いい音が響いた。先ほどと同じように六実の足が健一のちんちんを蹴り上げられた。
「いぎゃっ」
「あはははははっ」
倉見が手を叩いて喜んだ。
痛みが持続している上にさらに追い打ちをかけられる。健一はどんなに痛くて身をよじっても攻撃を回避できない。ブランコは健一のことなど知ったことではない。容赦なく迫ってくる。
パンッ!
「やめて! アガッ!!」
またちんちんを蹴られる。あまりの痛みに暴れまわるが脱出はできそうになかった。ブランコの勢いは放っておけば弱まる筈だが勢いは衰えなかった。止まらない理由は六実が漕いでいるからに他ならない。何度も健一のちんちんを六実の足が蹴りあげた。その度に公園に悲鳴が響き渡る。周りで遊んでいた子供たちも物珍しそうに見ている。
「謝る気になった?」
いつ終わるとも知れないブランコを使ったお仕置きに健一は心が折れそうだった。
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