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掃除当番で(6)

 佳苗は満足だった。悪戯されて腹の立っていたけんじに仕返しできた。しかも倍返し以上の成果だ。だがあんなに否定的だった暴力に加担してしまった。力づくでけんじのブリーフを脱がしたことはやりすぎだったのではないか。佳苗はけんじの小さなおちんちんを見つめながらも考えこんでしまった。
「これに懲りたら二度とスカートめくりなんて幼稚なことやんなよ」
 良奈はけんじの鼻をグイッと摘みながら言い放った。これで仕返しの解剖は終わりだと佳苗は思った。良奈は立ち上がり、深智も掴んでいたけんじの腕を離す。亜美もチョークスリーパーを解いた。
「でもアソコは幼稚園児だから無理な話かもねっ」
「アハハッ」
 良奈と深智は笑いあった。
 女子に囲まれて恥ずかしいところを見られてしまったけんじ。その情けない姿を佳苗はまだ間近で鑑賞していた。萎んだけんじのおちんちんを観察していると深智も中腰で覗き込んできた。
「ちんちん見るの初めて? あたしは幼稚園行ってる弟ので見慣れてるけど」
「え、あ…うん」
「最初はもっと大人なのが出てくると思ったけどね。ドキドキして損しちゃった」
「そう…」
「佳苗ちゃんも何だかんだ言って見たかったんじゃん? 協力的だったし」
「や…違うよ」
「それにしてもまだ毛も生えてないなんてねー。同級生とは思えないよ」
 佳苗たちがこそこそクスクス話していると、そこへ「わー!」と突然声が上がった。
 クーちゃんだ。亜美にビンタされまくってダウンしていた彼が走って突っ込んできたのだ。
「けんじから離れろー」
 クーちゃんは良奈にタックルしてきた。「きゃあん!」と良奈は不意を突かれて壁に激突してしまった。良奈が床に崩れ落ちる。
「うわー」
 続いて深智を両手で突き飛ばす。深智も「やんっ」と悲鳴を上げて窓際まで後退させられた。そしてしゃがみ込んだまま臨戦態勢をとれない亜美に対してもローキックを放って退けようとさせる。亜美はそれを腕でガードした。クーちゃんは怯まずに何度かローキックを放つ。「っつ!」とガードで耐え続ける亜美。
「けんじにげろー」
 クーちゃんはぱんぱんに腫れ上がった顔をけんじに向ける。けんじはその声に反応して暴れだした。両足で佳苗を蹴ったのだ。
「きゃっ!」
 佳苗は尻餅をついてトイレのドアにガタンッとぶつかる。けんじは膝まで下げられたブリーフを急いで履き直した。
「くっそー!覚えてろよ!!」
 けんじは佳苗に蹴りを入れてから捨て台詞を吐いて逃げ出した。ちゃんと衣服を回収してブリーフ姿のままトイレの入り口へと向かう。クーちゃんもそれを見て戦線を離脱した。
「テリオ来い!」
 片隅で怯えながら、もはや空気と化していた彼だが言われて焦り顔で駈け出した。
 佳苗は肩を蹴られてジンジンと広がる痛みを自覚する。やはり報復が待っているじゃないか…。佳苗は自身に向けられた暴力に恐怖した。後日、もっと酷い仕返しされるのではないかと想像した。
 そのとき、プシューッと音が聞こえてきた。何事かと目を向けるとけんじがなぜか踊っている。
「うわっぷ!」
 放水だ。トイレ掃除用のホースから大量の水が噴出されていた。けんじは逃れようと横にずれるが勢いのある放水を浴びせられて滑って転んだ。追い打ちをかけるように大量の水がけんじの顔へと注がれた。
「ぅあっぷあぷ」
 佳苗はけんじのブリーフに注目した。水に濡れてお尻が透けて見える。
「けんじぃ!」
 クーちゃんとテリオが立ち止まった。その彼らにも放水される。
「うわっ」
「あぁー!」
 蛇のようにうねりながら放水が続いた。既に床は水浸しだ。奥にいた佳苗たちは多少とばっちりを受けながらも壁伝いに入口の方へ走って移動した。
「摩耶ーナーイス!」
 良奈が摩耶の元へ駆け寄る。トイレの入口にいた摩耶は無表情で緑色のホースをけんじたちに向けていた。
 佳苗はもう一度けんじのブリーフをみやった。おちんちんは透けて見えないけど形はくっきりと出ている。
「うあー」
 テリオは一人奥へと走って放水から逃げ出す。クーちゃんは右往左往していた。しかしけんじはびしょびしょになりながらも立ち上がって手を盾にして向かってくる。
「やめろてめー!」
 亜美が待ち構えていた。一直線に摩耶に向かってくるけんじを横合いから蹴り飛ばす。
「うがっ」
 けんじはまた滑って転んだ。そこへ良奈が近づいていく。
「もうあんたたち許さないから!」
 怒った良奈は床に転がるずぶ濡れのけんじのブリーフを引っ掴む。今度は躊躇せずに一気にずり下ろした。またしてもけんじのおちんちんが露出する。
「わっやめろぉ!」
 けんじは焦ってブリーフを掴む。しかし良奈は力づくでそれを振り切った。けんじの手が離れる。水分を含んでぐしょ濡れのブリーフは少し脱がしにくそうだったが先ほど引っ張り合ったからかゴムが弛んでいて比較的脱がしやすい。ブリーフはすぽんと足首から引き抜かれた。
 けんじはこれで一糸纏わない姿になる。先程は辛うじてブリーフが膝に引っかかっていたけれどこれでもう彼は何も身に纏っていないことになる。学校の女子トイレで女子たちに囲まれて一人だけ服を身に着けていないのだ。学友の前で一人だけ恥ずかしいところを見られてしまっている彼はもう立ち直れないのではないかと要らぬ心配を佳苗はするのだった。
「ふんっ」
 良奈は剥ぎ取ったブリーフをけんじに見せつけるように掲げた。騎馬戦で帽子を奪い取って勝ち誇る様を思い描く。ブリーフを無理やり脱がされて可哀想だと同情する一方、男子より女子のほうがつよいという構図に胸が高鳴る佳苗だった。

コメント

  1. tk より:

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    非常に面白いです。
    けんじ含めたまだ反抗的な3人がどう懲らしめられるか楽しみです。

  2. 匿名 より:

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    反抗的じゃなくて犯罪レベルの暴行に抵抗してるだけだよね
    懲らしめるも何も完全に女子が加害者じゃん

  3. 匿名 より:

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    というか何でこの作者は女のお咎めなしの犯罪行為を平気で書くのか分からない
    頭のおかしい女に苛められても何も興奮しないんだけど

  4. 匿名 より:

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    何という興奮する展開……!!

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