放課後の体育館にこそこそと人が集まってきた。
普段はザクロたち高学年の女子バレー部が使用しているところだ。
「やっとこの日が来たよ」
レモンが口元を上げた。だが目は笑っていない。
バレー部のキャプテン、ザクロがゆっくりとバレーボールをついていた。館内に音が響き渡る。
今日は夏休み前の職員会議の日。
年に数回あるもので、今日は16時から予定されている。従って顧問の先生は本日の練習に参加できないのだ。生徒だけで自主練習を命じられている。
「たくさん来てますねぇ」
何が始まるのかと期待するバナナがザクロに話しかける。
バナナは一学年後輩のバレー部員だ。サイドポニテでまん丸の目がかわいい。茶髪がかって見える髪色は生まれつきのもの。天然系のほんわかした雰囲気で男子たちからは人気がある娘だ。
「公開処刑だからな」
ザクロが淡々と返す。
「練習したいんだけどなぁ…」
少し口を尖らせて不満そうなチェリーがレモンの隣でつぶやいた。バナナと同じく後輩で、彼女は細いくびれの割に大きなお尻と先輩たちなんかよりも大きく成長したおっぱいが魅力的だ。厚めの唇に切れ長の目。長めの髪をゴムで縛りまくって運動の邪魔にならないようにしていた。バレー部の時期エースが噂されるほどの娘だ。
2組の女子はほとんど集合している。バレー部のザクロとレモンはもちろん、友達のリンゴ派、2組のリーダーチームのピーチ派、級長であるイチジク派。
そして連れて来られただけのモブ子ちゃん派のスイカ。
バレー部の部員は1組と3組、そして4・5年生を合わせて30名近くもいる。さすが強豪校だね。
バレー部以外では1組と3組からも女子が数人やってきていた。この戦争に参加する意志のある女生徒たちだ。当然イケメン黄金コンビ、ツバメ&ハヤブサのおちんちんが大写しにされた写真やラブリーなつぐみちゃんのブリーフを脱がされた情けない写真を見ていることだろう。
女子軍が優勢であるという大本営発表に、それなら自分も参加してみようと名乗りを上げたわけだ。
まったくイヤラシイ女子たちだな。
逆に負けてる男子軍はその事実を恥ずかしくて言えないから援軍の期待も薄いんだ。悪循環と言うしかない。
「さぁ時間ですわ」
映画監督のようにパイプ椅子に腰掛け、美声を館内に響き渡らせるピーチ。
「男子軍は来ませんでしたね。それでは今から捕虜たちの処刑を始めますわ」
ピーチが立ち上がる。その動きに合わせて、「はーい」とみかんがどん帳を上げるスイッチを押した。
どん帳がゆっくりと上って舞台上にはチキンとバードとそして僕の姿があった。もちろん三人共ブリーフ一丁だ。
軽快な曲が流れ始める。
女子たちの歓声が上がった。
僕たち三人は曲に合わせて激しい踊りを披露するのだった。
「こいする〜♫」
流れてくる歌に合わせて歌う。
「ふぉう♪」
こんなに大勢の前で何かするのは学芸会以来の緊張感だ。ブリーフ一丁に慣れ始めていたところなのに、他のクラスのあまり顔を合わせてない女子や初めて会うかもしれない後輩たちの前で、情けない格好をして歌って踊って…今までの比ではないくらい恥ずかしかった。
「ちゅんクぅーキぃー」
全力で踊る三人組を見て女子たちはケラケラ笑っていた。手を叩いて「いいぞ〜」などと茶々を入れてくる。
去年まで同じクラスだった1組の女子は久しぶりに見た僕の姿に涙を流して笑っているよ。
あどけない顔のきょとんとした後輩やませた表情で笑っている後輩もいる。
くそっ。
年下の女子の前でこんなことさせられるなんてっ。
屈辱過ぎて涙もでねぇ。
曲が終わって三人で決めポーズする。
バードなんかピシっと指先を伸ばして悦に浸った表情をしていた。やりきった感がすごい。
だがまだ終わっていない。僕たちが練習させられた曲はもう一曲あるんだ。
それを踊ってから、その後に公開処刑という段取りだ。大勢の女子の前でブリーフを無理やり脱がされて、恥ずかしいおちんちんをみんなに見られてしまうんだ。
拍手が鳴り止んでピーチが歩み出る。
「良かったわ。あなたたち、じゃあ、次は全裸でやってもらおうかしら」
「…え?」
僕はピーチが一瞬何を言っているのかわからなかった。次はぜんらでって言ったのか? 何をやるんだ?
まさか…。
レモンが舞台にとよじ登ってきた。
ブルーベリーとメロン、みかん、そしてバナナとチェリーが後に続く。
レモンとみかんは僕の前に。ブルーベリーとメロンはチキンの前、後輩二人はバードの前に立った。
初めから打ち合わされていた動きだ。
「えっえっ!? ちょ…ちょ…ちょ…」
「なんだよ? えぇ!?」
僕とバードは動揺が激しかった。
「ひぃー」
チキンは屈みこんで頭を抱える。
「戦死した状態で踊ってもらうと言いましたのよ。その方が盛り上がると思いましたの」
ピーチは目を細めてゆっくり舞台に上がってきた。
「きっ聞いてた話と違うっ」
「どの道戦死するんですからどっちにしても変わりないですわよ」
「くそぅっ」
「では、そっちのチキンくんからよ」
ピーチの視線が鋭くチキンを射抜いた。
「うぇっ?」
「じゃあ、準備はいいですか? いきますわよー? それえっ」
「ひぃぃっ」
ピーチの合図を機に、ブルーベリーとメロンが同時にチキンのブリーフを無造作に掴んで引っ張った。屈みこんで丸くなっていたチキンだがブリーフを女子たちとは逆ベクトルに引っ張って必死に抵抗した。
「ぅひいっ」
しかし、いとも簡単に後ろへくるるんとひっくり返るのだった。背中を舞台につけて転がる。ブリーフは引っ張り上げられて膝まで上がった。ぎゅっとブリーフを掴む手に力を入れて足をばたつかせる。そんな抵抗むなしくチキンの指は離れて、ブリーフは足首をすぽんっと抜けて取り上げられた。
体育館内でただ一人全裸の人間となった。
「ひぃぃぃぃ…」
恥ずかしがるチキン。すぐに身体を起こし、おちんちんを両手で隠して亀になる。
「ふんっ。張り合いのないっ」
「ちんこよく見えなかったけど、包茎だったよねー?」
ブルーベリーとメロンだ。
近くでバナナがうふふっと、チェリーがくすりと笑う。先輩のくせにまだ皮かぶってるんだ〜と思ったのだろう。
「次はレモンさんを暴行したホークくんの幇助をした罪でバードくんよ。さあ、脱がしちゃって良くてよ」
「は~い」
「あ、はい」
ピーチの号令でバナナとチェリーが、バードのブリーフに手を伸ばす。
「うぉい! やめろっお前らあ」
バードは思わず逃げ出す。どこにも逃げ場などないというのに。見知らぬ年下の女子にブリーフを脱がされることになるなんて気持よく踊って決めポーズを決めていた頃のバードは思いもしなかっただろう。
機動力のあるブルーベリーとレモンがいち早く動いてバードを取り押さえた。
「くっそがっ!」
直立のまま、両手の自由を奪われてしまうバード。
観衆はいつの間にか舞台の方へと近づいてきている。もっとよく男子の裸を観察するためだろう。
そんな彼女たちに対してバードは背を向けた状態だった。
「やっちゃって!」
レモンに促されて後輩二人はバードに近寄り、背後からブリーフを掴んだ。バードはジタバタ足を動かして少しでも抵抗する。でもやっぱり、ブリーフはあっさりと脱がされていって、女子たちの前に生っちろいお尻が丸出しになった。
ブリーフが膝まで下げられる。そのまま引っ張るもんだから足が持ち上がって4人の女子に持ち上げられる形となったバード。
そんな足をバタつかせるバードを無視して彼の最後のプライドを足首から抜き去る。
こうして彼は、今日初めて会ったばかりの後輩の女子にブリーフを脱がされるという屈辱を与えられたわけだ。あれが僕でなくて良かった。
「うう…」
バードは解放されてチキンと同じようにおちんちんを両手で抑えて隠す。
メロンが近寄っていって右手を振り上げた。真っ白なお尻に向かって振り下ろす。
パチィィーン!!
「ヴィエ!!!」
お尻にもみじがくっきりと浮かび上がった。痛そうだ。
そのとき、舞台下のイチジクの眉がぴくりと動く。
「あんたは逃げないよね」
レモンが怖い目で近づいてきた。
ああ、逃げても無駄だってわかってるけど…、せいいっぱい抵抗させてもらう!
僕は舞台を降りようと身体をひるがえした。
ドンッ
いつのまにやらスイカが舞台に上がっていて、僕が逃げるのを見越していたのか待ち構えていたらしい。
「おっぶ!」
でーんとぶつかって僕は転がり、あっさり女子たちに取り押さえられる。
「短い抵抗でしたわね?」
ピーチが薄く笑って僕に背を向けた。舞台を降りていく。
「みんなに見えるように舞台の前に行くよー」
ブルーベリーが先導する。
みかんとバナナに両手を押さえつけられて、両足をブルーベリーとチェリーに引っ張られる。僕は舞台から落ちそうになるギリギリのところに引きずられていった。
「えいっ」
「ぐふっ!」
僕のお腹にメロンがどすんと座り込んだ。
「…いっいやっいやだっ!」
僕は下半身だけだらりと舞台からはみ出した状態になる。
舞台からひょいっと降りてレモンが僕の前に立つ。
「やっやめっやめてっ!」
せいいっぱい足をバタつかせてやる。だが足首を誰かに取り押さえられた。がばっと左右に足を開かされる。
「それではレモンさんを襲った主犯の処刑をしましょう。みなさんもっと近くに寄って見てあげなさい」
パイプ椅子に座って足を組むピーチ。他の女子たちが僕に近づく。興奮した息遣いが聞こえてくるようだ。
レモンが僕のブリーフを掴んだ。やはりブリーフを脱がす役はレモンなのだ。
「やっとあん時の仕返しができるわ」
レモンは言ってブリーフをするするっと脱がし始める。
はっ恥ずかしい。
久しぶりに会った他のクラスの女子に。
初めて会う後輩の女子に。
いつも顔を合わせる同じクラスの女子たちに僕はこれからおちんちんを見られてしまうんだ。
くっ悔しい。
ブリーフが土手まで下がって歓声が上がる。
「あっれえ? こいつ毛生えてないんじゃん?」
レモンが振り返ってみんなに言いふらす。
「成長おっそー」
「まだお子供だったんだ、あんた」
メロンとイチゴが僕の心を刺してくる。
でもイチヂクだけは戸惑っている様子だった。
レモンは「じゃあホークの恥ずかしいおちんちん、ご開帳しまーす」と言って一気にずるっと膝まで下げてきた。
一瞬の静寂が訪れる。
メロンの背中が邪魔で女子たちの表情は見えないが僕のおちんちんにみんなが見入っているようだ。
体育館内の熱気に当てられるおちんちん。さらけだされてしまって悔しくてたまらない。
ドッ
永遠とも思える一瞬が過ぎ去って、館内は急激に爆笑の渦に巻き込まれる。
「きゃははっ。かぁわいー。あんたも包茎なんだね?」
「男子って包茎っばかり!」
「見てこれっ! 酷くない!? 巾着袋よこれっ」
「つぐみちゃんより赤ちゃんだなっ。はははっ」
「先っちょがひもで結ばれてるみたーい。ぴったり閉じてる〜」
「わぁ… 先輩なのにねー… クスクス…」
「ポークビッツ先輩って呼ぼうよ」
「金玉も縮み上がってる〜。ちっこーい」
女子たちは口々に僕の心を串刺しにしてくる。
リンゴやザクロは鼻で笑っていた。
人生最大の屈辱である。
あまりの屈辱に僕のおちんちんは勃起し始める。
えっ!? 待てよっ なんでこのタイミングで勃つんだよ!?
「えっ? なにこれっ? なんかむくむく大きくなってきた!」
「キャー」
「いやー」
「何考えてんだお前っ」
「いぃいやっちがっ…」
悔しいはずなのに見る見るうちにおちんちんはぴーんと伸びきってしまった。
大勢の女子に見られて、それが刺激となったようだ。
「…勃起しても剥けてねえじゃん」
「え、これで勃起してるんだ?」
「もしかして真性包茎?」
「やだっくっさーい」
「イヤッ」
その言葉を最後に女子たちが僕から離れる。
「みんなー、この真性包茎くんが射精するとこ見てみたくない?」
「え? 本当にやるのっ?」
レモンの発言に女子たちが沸き立った。
「素手で触りたくないからバレーボール持ってきて」
「はいっ」
チェリーが走ってボールの入ったカゴをガラガラと引っ張ってくる。
僕を拘束していた女子たちが退いて、スイカが僕を持ち上げた。
僕はスイカと背中合わせになり、両手を組み合わせた。ストレッチでもするかのようにスイカはお辞儀をして、ぐっと僕の足が舞台から離れ、背筋が伸びる。
「ちょ…ちょっと? そのボールどうする気? ぶつけるのはダメよ。暴力は禁止でしょ!?」
イチヂクがレモンの前に立ちはだかった。
「え、なに? イチヂクさん退いてっ。私はあいつにレイプされそうになったんだよ?」
「でも… 傷めつけるのはダメよっ。ルールなんだから。仕返しされるよっ」
「級長まじめすぎだよ。男子軍は見てないから大丈夫だって。実際に私も既に殴られてるんだし」
「え…? で…でも…」
「もうっ、バレーの練習に参加させてあげてるってことにすればいいのっ」
「さぁ退いた退いた」とメロンがイチヂクの手を引っ張る。
「…」
ルールがあるのにそれが守られてないなんてオカシイとイチヂクは混乱している様子だ。
レモンがボールを取って数歩離れた。
「フンッ 私のことレイプしようとしたバツよ! 女子の前で射精して詫びろぉ!」
ポーンとボールをトスしてサーブする。
バーンッ
バチンッ
「イッテェ!!」
ボールを弾く小気味よい音が体育館に響いて、その弾は見事に僕のおちんちんを射抜いた。
「ひぃ」
勃起したおちんちんの先っちょをかすめるようにして竿を押し倒し、お腹に直撃していた。
「次行くよ!」
バーンッ
バチンッ
「イッギャアアア!!!!」
すぐに2発目。ものすごい命中力だ。下の方に当たる! 金玉が潰れたんじゃないかと思った。それでもおちんちんがますます反り返っていく。
あまりの痛みに僕は足を曲げて防御した。
「みんなもやってあげなよ」
レモンが促す。
イチゴが近づいてするするっと僕の左足からブリーフを引き抜いて、そのまま左足を引っ張った。
みかんが僕の右足を引っ張る。右足からも引き抜かれるのは時間の問題だ。
両足がぴーんと開かれておちんちんどころかお尻の穴までご開陳してしまう。
女子たちの前でなにもかもさらけ出してしまった。
ボールを手にとったバレー部の後輩女子たち。4年生なんかは今までぽかーんと見ていただけだがここに来て積極的になり、楽しそうなイベント発生にボールをみんなに回していく。他クラスの女子たちも慣れない手つきでボールを持つ。
「徹底的におちんちんを痛めつけてやろうよっ。レイプ魔なんだから遠慮いらないよ」
レモンがみんなにボールを投げつけるように合図する。
「それっ」
バチンッ
「うぐぁっ」
「えいっ」
バチンッ
「へやあっ」
1メートルほどの距離から僕にパスするかのようにボールを投げる。僕はそれを勃起したおちんちんで受け止める。
「そらっ」
バチンッ
「ひぐっ!」
竿に当たるのはまだ我慢できる。
「やーっ」
バチンッ
「ふがっ!」
だけど、金玉への刺激はやばかった。竿への攻撃なんか比じゃないよ。
「じゃあ次私やりたいっ」
チェリーがボールを強めに僕にパスする。だけどそれを手で受け止めることはない。シュッとおちんちんめがけて飛んできて金玉を押しつぶした。
バチンッ
「ぁっ…」
体中に電撃が走った。何か漏らしてしまった。
それは初めての精通だと後になって知ることになるんだけど、何も知らない僕は何だか味わったことのない快楽が無理やりやってきて、何か大切なものを喪失した気持ちになった。
僕は女子たちの前で見せてはいけないものを全部見せてしまったのだ。
「あ、待ってみんな! 餅巾着おちんちんの先から何か白いの出てるよ!」
イチゴがみんなに報告する。
「え、射精したの?」
「うそっ?」
「早くない? 早漏じゃん」
「もっとぴゅっって出るもんじゃないの?」
「ええー、射精する瞬間よくわからなかった。がっかりー」
「射精って初めて見るけど、もっとぴゅって飛ぶんだと思ってた」
「巾着だからしょーがないのよ」
みんなが集まってくる。
い、言いたい放題、い、言いやがって…。
ダンダンダンッ!
そのとき、体育館の扉を叩く音がした。みんなの心臓が跳ね上がる。バレー部のバナナとチェリーが扉の前に駆けていく。
「開けろっ」
扉の向こうからイーグルの声がした。
「捕虜を連れてきた。男子は俺だけだ」
バナナとチェリーがザクロの方を確認する。ザクロが頷き返して、それを確認してからバナナとチェリーは扉の鍵を外した。
扉は静に開け放たれ、イーグルが息を切らして中へ入ってくる。
館内を目を動かせて見回す。
そして後ろから男子軍の捕虜である びわ と なすび がついてきた。
捕虜二人の入館を確認して扉が再び閉ざされる。
「あら、今さら何をしにいらしたの? たったお一人で」
ピーチがなにやら不満そうだ。
「うるさいっ。何が今さらだっ。16時に処刑開始だなんて1分前にメール寄越したってすぐに来れるわけねえだろうが!」
「1分もあれば教室から飛んで来れますわよ。むしろ20分も過ぎてるのになにをもたもたしてらしたのかしら?」
「…くそっ、もう三人とも… こっちの帰ろうとしてた捕虜をとっ捕まえてくるのに時間かかったんだよ!」
「あぁ、そう言えば確か捕虜が云々かんぬんとかグループチャットが来てましたわねー…」
「捕虜交換だ。応じろっ」
「でも、もう戦死してますわよ?」
「グループチャットにまだ写真上がってないだろ!」
「写真なんて今すぐに撮れますわ。それに3対2の交換では成り立ちませんわよ」
「チッ…。ホークとバードだけでも解放してもらう。チキンには悪いがその二人は戦力だ」
「戦力ねえ…」
ピーチは困った顔を見せる。
「それで言うならそこのお二人なんて女子側の戦力とは換算しておりませんのよ? なんだかこの取引、不等ですわ」
だけどそれは本当に困っていたわけではない。そういう演技だ。
「…!? な、なんだと?」
イーグルは意表をつかれた。必ず交換には応じると思っていたのだ。
びわとなすびも見捨てられたと思って顔が引き攣った。
「交渉決裂かしら? では放っておいて2曲目を踊ってもらいましょう」
「…く」
そうして僕は解放される。当然このまま2曲目を踊らされるためだ。
すぐに軽快な曲が流れ始める。
「ちゃんと踊れたら処刑はここで終わりにしてあげてもよくてよ? 踊れなかったらまだ続きますわっ」
僕は射精したばかりだけど何故かまだ勃起したままだった。それでも早くこの処刑ショーを終わらせるためにもこの1曲を全力で踊る決意だ。それはバードとチキンも同じで恥ずかしくても早く終わらせたいのだ。
「ぽーり♪」
僕のブリーフは左足に引っかかったままだけど、奇跡的に脱げてない。つまりまだ生きている。なんとか足をつっぱらせて変な踊り方になったけど全力には変わりないぞ。
「りずむりずむりずりず…♫」
だけどブリーフはひょいっと足先からすり抜け、靴でも飛ばす要領で前にすっ飛ばされた。
「あ…」
これで三人の全裸男子ユニットが完成してしまった。
一人は完全に勃起したおちんちんを激しく振り回して踊っているし。
バードは開き直ったのか、赤い顔をしながらもキレッキレの切れのあるダンスを披露していた。
イーグルなんかは呆れている様子だったね。仲間ががんばって女子を捕まえている間、僕やバードはダンスレッスンに忙しかっただなんて言えないよ。
そして曲が終わると同時にイーグルは女子たちに取り囲まれる。
◆イーグル派:ホーク 戦死(証拠未アップ)
◆イーグル派:バード 戦死(証拠未アップ)
◆ハト派:チキン 戦死(証拠未アップ)
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