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帰り道で(2)

 それは人間社会で生活していくための大事なものだった。
 他人の前で、ましてや年頃の異性の前で最後の砦であるパンツを失ってしまうなんて、本当に笑い者だ。彼女たちは服を着ていて、文明社会の側から僕を見下している。獣同然に裸である僕は、檻に入れられたかのようだ。
僕は心細くなる。
「あっ、返して」
「何 言ってんの? ぷぷっ。そんなにおちんちん大きくさせておいて?」
「そうだそうだ。嫌がりながらも身体は正直だよねー」
「ち、違うよっ」
「何が違うって?」
 なつは「じゃあコレは何なんだよ」と言わんばかりの表情と足を使って僕のおちんちんを小突いて来た。
 ツンツン
 ビクッ
「はう!!」
 僕は両手で股間を覆い隠す。
「あ、こいつ隠したよ」
「今からしてるとこ見せるんだから恥ずかしがってる場合じゃないでしょ。それでも男? もっと堂々としてりゃいいのにさっ」
 衣服を身につけている彼女たちは高等な生物だ。それに比べて服を奪われてしまった僕は動物園の動物のように見せ物になってしまった。
「神木ぃ、早くしこりなよ」
 なつは僕の手の上から容赦なく足で小突いてくる。僕は後ずさって逃れようとする。
 尻餅をついたまま後ろに片手をついて女子たちから距離を取ろうと思った。右手はしっかりおちんちんをガードする。
 だけど、片手だとおちんちんを完全に覆うことはできない。どんなに上手に隠れても亀頭は丸見えだった。焦ってる僕はそれに気づけない。
 美空となつはゆっくりと歩いて僕を追ってくる。
「先っちょ見えてる〜」
「はぅっ」
 僕は指摘されて赤面し、右手のガードを上げた。上げたはいいけど今度は金玉の袋が丸見えになったことに気付かない。
「あははっ」
 美空が楽しそうに笑う。純粋に僕のマヌケぶりが楽しいみたいだ。まぶしい笑顔で、それが僕にとって特別な存在であるゆえんなんだ。
 なつのつま先が蛇のように追撃してくる。がら空きの金玉をツンツンツンッと振動を伴いつついてくる。
「ぅっ!」
 金玉への刺激は痛みを伴う。
「きゃははっ敏感!」
 僕はお尻を跳ね上げて転がり、両手を使いフルガードで臨む。美空となつが僕の両脇に回りこむ。
「ほらあっ見せてくれるんでしょ?」
「いやっ」
「男の癖に情けないなぁ。恥ずかしがってたら余計 恥ずいって」
「ああっん」
 二人の女子が僕の両腕を引っ張り、結局のところおちんちんは女子たちの前に晒されるのだ。僕は当然、取られた両腕を引き抜こうともがく。足は内股にして もぞもぞとさせ、何とかしておちんちんを隠そうとするけど隠れるわけがなかった。
「ほらっ」
 美空は空いてる方の手の指で、僕の亀頭を軽く ぴんっと弾いた。
「あぃっ」
「見られて嬉しいんでしょ? ホントは。ドマゾ君だもんなー」
 なつは意地悪そうな笑みで僕の赤面した顔を覗き込む。
「うぅ…」
 恥ずかしくて穴があったら入りたいのに、引っ張りだされて羞恥の表情をじぃっと観察されてしまう。
 もはや僕はこの二人の“同級生”ではなくなってしまった。同じではない。下等な存在だ。
 今、この場を解放されたとして、日常に戻れたとして、果たして僕は彼女たちの同級生だと言えるだろうか。美空もなつも異性の前で裸を晒した奴を同等と見做すことはしてくれないだろう。自分は裸を見られてないけど、この男は裸を晒してギンギンに勃起までして興奮した姿を惜しげも無く見せているわけだ。
 服を着て、教室に戻っても、裸を晒した事実は生きている。好きでもない奴の裸を一方的に見て、彼女たちはその事実を握って、常に僕の上に立てるのだ。
 劣等な僕はそれでも美空の笑顔が好きで、声をかけられただけで体験したことのない女子の身体の柔らかさを想像してしまい、おちんちんが勃起してしまう。
「オナらないとパンツ返してあげないよ?」
 なつは にかっと白い歯を見せて笑う。
「ほらぁ、がんばれっ」
 美空は僕の手を取って、その手でもっておちんちんを握らせる。
 僕は美空に支えられて、自分の右手でおちんちんを握る。
 ドクドクッ
 いきりたって今すぐにでも爆発しそうだ。
 大好きな美空に、間接的にであれ、おちんちんを握られてるんだ。
 僕は今、好きな女子におちんちんをしっかと握られてる。
「ぁっ」
「やだっ。感じてるみたい」
「ぅ…ぃ」
 僕は悦に浸る表情を観察されて、気持ちよさよりも恥ずかしい感情が大きくなる。
 歯を食いしばって、興奮を収め、通常に戻らなければ。
 今ここで射精なんてしてしまったらM男だと認定されてしまう。
 好きな美空の前で僕だけが一方的に痴態を晒せない。男らしくありたい。美空と同級に戻って付き合いたい。
 だけどもう既に後戻りできないところまで来ていた。
 おちんちんの先っちょからガマン汁がつつとあふれ始めた。
「ぁすごい」
 とろりと僕の手のひらがガマン汁をすくって亀頭に塗り広がっていく。美空は僕の意思に関係なく手を動かして、連動して僕の手が動かされる。
「なんかいっぱいでてきたね」
「もうすぐ射精すんじゃね?」
「がんばれー。私たちここで見てるからね」
 美空となつは立ち上がって僕の身体から離れる。
 解放された僕はそこでシコるのをやめることができる。今からセックスをするわけじゃない相手の前で一人全裸で興奮しっぱなしの状態を脱出できる最後のチャンスだろう。
「いっぱい出るところ見せてよ」
 だが美空の一言で僕はおちんちんをきゅっと握り直す。
「いつもやってるみたいにやってみー」
 なつの にかっと笑う表情もよく見れば可愛いなと思ってしまった。
 美空は腕組みして僕を見下ろす。スカートの裾がひらひらと、もうすぐパンツが見えそうなのに見えない。
 もし見えたなら開いてしまった差が少しでも埋まるのに。
 なつは腰に手を当ててニヤニヤと僕を見下す。短めのスカートだから ちらりと黒いパンツが一瞬だけ見えた。
 今まで攻めこまれてたけどほんの少しだけ、一矢報いることができた。
「ぱんつ見てんじゃねぇよっ」
 なつは恐らくわざと見せていただろうに、理不尽にも僕の顔を踏みつけてきた。僕を踏む理由をこじつけるためだろうか。
 美空は「やだっ」と言ってスカートの裾を手で抑える。
「見たいなら見せてやるから、これおかずにしてシコれっ」
 なつがこの程度ならくれてやるとばかりに僕の顔をぐりぐりする。目のところは踏まないでくれているから、おかげで黒いパンツが下からよく見えた。
 僕は必死に目で追う。
 美空の言葉となつのパンツで僕の右手は自然と動き出していた。
 ぬらぬらと自らの愛液で自らを慰めていく。
 女子たちは僕の痴態を見てるだけ。
 くちゅくちゅといやらしい音が響き渡った。
 僕の決して誰にも見られてはいけない秘密の行為が、同級生だった二人の女子に惜しげもなく見られている。
 僕は何もかもを晒していた。
 スピードを上げる。
 いや、勝手に上がってくるんだ。
 無心に快楽を貪(むさぼ)った。
 おちんちんをこすって、ただ一人 壇上で踊る。
 こすこすこす…
「ぅぅ」
「めっちゃ感じてるね」
「うぅっ」
「すっごい ぱんつ見てくるよ。こいつ」
 すこすこすこ…
「へぇ… 男の子ってこうやってするんだね」
「はぁはぁ…」
「見てよこのマヌケ顔」
「はぅはぅ…」
 くちゅくちゅくちゅ
「おもしろいから動画 撮ろ」
 なつは足を戻してスマホを使い撮影し始める。
 ああ、そんな動画を撮られたら僕は一生 彼女たちに逆らえない。
 一生 同等になれない。
 美空と付き合えない。
 ずぷずぷぷ
 でも、気持ちい。
 すべてを見てもらっているという開放感。
 止まらない。
「すごい一生懸命やってる。男の子って興奮すると周りが見えなくなるんだねー。女の子に見られてるのに恥ずかしくないのかな?」
「猿だな」
 せり上がってくるマグマ。
「がんばってる顔、かわいい。私こいつに ご褒美あげよっと」
「えー。やることないって。神木なんかに」
「よいしょっ」
 どすんっ
 美空が僕の顔のにお尻を下した。
 突然の出来事に思考が飛んだ。
 スカート越しとはいえ、柔らかい大きなお尻に、顔を包まれて息が苦しくなる。
 もぞもぞっとお尻が動いて座り直す美空。
 お尻の割れ目をしっかり擦りつけて美空の体温を感じて、幸せな温かさに包まれる。
 意識が遠くなる。
 自然と腰が浮き上がる。
 美空の目の前にギンギンに膨れ上がったおちんちんがせり上がっていく。
 まずいと思った。
 美空にかかっちゃう!
 どぴゅぴゅっ!
 止められるわけがなかった。
 ピークに達していた。
 何もかもを吐き出した。
「きゃー!」
 美空の悲鳴が遠くに響いた。
 どくどく
 ぴゅっ ぴゅーっ
 ぴゅっぴゅぴゅ
 僕は美空の柔らかいお尻に向かって「ぁああ〜ん!」と叫んでいた。好きなだけ大声を出せる。
 顔騎した格好の美空は飛び散る精子を手で防ごうとするけど、指の間をすり抜けて美空の顔にびとっびとっと張り付いた。
 べっとりと美空は汚され髪や頬に白い僕の体液がこびりつく。
「あぁあ。だからやることないのにー。ご褒美なんて」
「すごい男の子の射精。初めて見たー。愉しいっ」
 僕は僕のすべてを余すところなく女子たちに見せつけて身体をビクッと震わせた。
 開放感と後悔とこれからの尻に敷かれた人生を思って僕は眠りにつくのだった。
おわり

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