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透明人間で(10)

「こいつなんなの?」

「何で裸なのよー?」

「信じられなーい。あのマジメな鷹橋が…」

「ハゲてるよっ キモッ」

 僕の顔をクラスメイトの女子たちが覗き込んでいた。隣のクラスの女子も混じっている。円陣を組むようにして僕を囲んで、僕はいったい何をやっているんだ?

 はたと気づく。

 そうだ、僕は遥ちゃんに蹴られて気を失っていたのか…。

 一瞬だろうか… KOされてダウンしていたのは…。

 はうっ!?

 僕は仰向けに寝転がったままガチガチに勃起したおちんちんを両手で隠した。こんなにたくさんの女子が見下ろしている中、僕は性器を晒していたのか…。

「何を今さら隠してんだよっ」

 ブルマに体操シャツの女子たちが僕を非難し始めた。

 みんなには僕が見えているんだ。どうやら透明でなくなっていた。

 千菜のやつ、やっぱり僕のことが見えていたんだな… 見えてなくても気配を感じ取っていたということか。

 昨日まで普通に接していた女子たちが今は親の仇を見るような目で僕を見ていた。特に遥ちゃんはぷくっと頬を膨らませて怒っている。

 マーキングされて囲まれていたのでは逃げ場がない。もう一度 透明化なんてしても捕まってしまうだろう。

 そんなことより恥ずかしいっ。

 見るなっ!

 僕の裸を見るんじゃないっ!

「どういうことか説明しなさいよ」

 友理子がムチムチのブルマを見せつけるように僕の顔の近くに立つ。そびえ立つ自由の女神のようにでっかく見えた。股間に食い込むブルマがエロいなぁ…。

「何で鷹橋がここにいるの!?」

 遥ちゃんがダンッと足を踏み鳴らす。

 ひぃっ

「答えなさいよっ」

「この変態!」

 僕が黙っていると堪り兼ねたオーディエンス女子たちが僕の太ももに蹴りを入れてきた。

 パンッ

 げしっ

「ぃ… いや、あの… さぁせんした…」

 僕は真摯に謝る。

 とにかく謝ったフリして逃げなきゃ…。

「説明しなさいよっ」

「答えられんのっ?」

 パンッ パンッ

 げしっ げしっ

 僕は謝った。だからもう許されているんだっ。僕は起き上がった。

「きゃー!!」

 ゾンビのようにムクリと立ち上がる僕を見て女子たちが拡散していく。パニック映画のようにみんな僕から逃げる。

 お尻丸出しで無毛の裸ん坊が走り回る。

 僕は背中を丸めてかがみ、内股になりながらオカマダッシュした。

 女子たちの悲鳴が響き渡る。

 こだまして僕の正常な判断を狂わせるんだ。ゴキブリのように立ち止まっては蛇行しながら逃げ惑う僕。

 勃起したおちんちんを手で隠した男に蹴りを入れてくる女子たち。

 悲鳴が耳をつんざく。

 僕は扉を目指して走るが、みここが立ちはだかっていた。

「鷹橋のヘンターイ」

 丸い顔立ちのみここが番人のように両手を広げる。僕は吸い込まれるようにしてみここにタックルしていた。しょせん女子なんだから男の力に敵うはずがないと思っていたのだ。

「てやー」

「ぶふぉおっ!?」

 僕の腰の入ってないタックルなんて意味がなかったようだ。みここにベアハッグされていた。両手を股間に置いていたので、両腕ごと拘束される形になってしまった。

「あぎゃいっ 離してっ あががっ」

「このーっ」

 みここが むっちりしたおっぱいを押し付けてくる。身体を持ち上げられて床から両足が離れてしまった。僕はジタバタと足をバタつかせる。

「離せよっ くっそ!」

「鷹橋、逃げたらダメ! みんなに説明してよ」

 みここが僕の身体を上下に揺さぶりながら締め上げる。

「ぐへえっ」

 開いた両足のせいで股の間から金玉がぶらぶらとしていた。女子のみんなはみっともなく揺れ動く金玉を見ていることだろう。恥ずかしいから降ろせよっ!

「くそっ」

「鷹橋! 言わないと痛いことするぞぉ!?」

 遥ちゃんが僕の真後ろに立った。

「大人しくしなよっ」

「暴れるなんて最低!」

 周りを囲む女子たち僕の両足首に腕を絡めてきた。暴れる足をがっしりと掴まれて、思いっきり広げられる。股裂きだっ。

 お尻の穴も金玉の裏っかわも丸見えじゃないか。

「やめろー!! 見るなー!!」

「えいっ」

 遥ちゃんが右手の中指と薬指でパドルを作っていた。

 ぺんっ

 金玉が下から突き上げられる。

「あぎゃ!?」

「どう!? 痛いでしょっ?」

 ぺんっ

 ぺんっ

 金玉が叩かれている。

「あがっ がっ!?」

「暴れないならやめてあげるよっ」

 ぺんっ

 ぺんっ

 金玉が水風船のヨーヨーのごとくぽんぽんと叩かれる。もっとも遥ちゃんの場合は下からなんだけど。

 ぶらんぶらんと金玉があっちこっちに跳ね回る。暴れまわる水風船を制御するのがきっと得意だったに違いない。遥ちゃんはぺんぺんと金玉を突き上げた。

 肩をとんとんと叩かれる程度の力なのにメチャクチャ痛いよ!

「どう!? 何とか言ったらどうなの!」

「暴れましぇん!」

「何で女子の着替えの教室に居たのか説明してよっ?」

「ハイッ しますから!」

 ぺんっ!

「あぎゃっ!?」

 みここたちの拘束から解放される。

 僕は最後の一撃を喰らって虫の息になっていた。しゃがみ込んで、おちんちんを手で抑え、ぷるぷると震える。

「早く説明しなさいよ」

 友理子がまた僕の近くに立って冷たい目で見下ろしていた。

「どうやって這入ってきたの? ずっと覗きをしてたの?」

「ぅぅ…」

「痛いフリしたってダメよっ 遥は手加減してたんだから。ね?」

「そうだよ。そんなに強くしてないもん」

 遥ちゃんと友理子が結託して頷き合っている。

 金玉を突かれたらどんな痛みか知らない癖にっ。

「立ちなさいよ」

「鷹橋 立ってよう」

 みここに腕を引っ張られて無理やり立たされる。

「気をつけしなさいっ」

 友理子が凄んでくる。

 僕は黒板を背にして立たされる。まだ金玉が痛むのに両手は掴まれておちんちんから引き離されてしまった。

 ぷらぁあんと勃起した竿がみんなの前で揺れ動いていた。

 ぷらぁあん

 大勢の女子に囲まれる。

 ぷらぁあん

 注目されている。みんな目が怖いよ。

「早く説明しなよっ」

「どこで覗いてたのよっ」

「どっから入ってきたのかしらっ」

 みんなの言葉が浴びせられる。勃起した竿のことはみんなに見られてるはずだけど、何も言ってこない。恥ずかしいおちんちんを晒されているのに、僕にとってはどうでもいい侵入方法だとかどこで覗いてただとか、そんなこと知らねぇよ!

 人生最大の辱めを受けているのに少しはおちんちんの話題に触れろよ!

 晒し甲斐がないだろ!

 皮をかぶったピンクに艶光る亀頭から、とぷぅ…とガマン汁が垂れ始めていた。あまりに極限の恥ずかしさで興奮してしまったようだ。

 陰茎は女子たちの視線に晒されて増々反り返る。

 エッチなお汁が糸を引いて床に垂れていった。

 女子たちはそんなのお構いなしに、早く説明しろなどと言ってくるんだ。

 僕は見る側の人間なのに…。

 お前らの汗で湿ったパンツを、ブラジャーを…。ブルマやセーラー服を…。

 脱いだりするのを一方的に見る特権を持った選ばれた人間なんだ。

 それなのに勃起したおちんちんから金玉の裏っかわ、果てはお尻の穴まで大公開してしまうことになるなんて…。

 見られる側の人間じゃないのに…。

 かぁ~と顔が上気していくのが解った。

 毛の生えてないおちんちんや鍛えてない胸の筋肉なんかをしげしげと見られてる…。

 ハゲ頭が恥ずかしいよ…。

「申し開きの機会を与えてあげてるのに!」

「答えないなら覗き魔決定だぞ!」

 みここを始めとして2クラス分の女子に責められる。

 もう彼女たちとは同等じゃないんだ。気軽におはようとか消しゴム貸してとか、もうクラスメイトだった日々は戻ってこないんだ。

 これからはかつてクラスメイトだった変態として呼ばれるだろう。

 僕は彼女たちの下着姿や体操着姿までしか見たことないが、僕は余すところなく裸を見られちゃっている。

 だから今後、僕が「おはよう」と挨拶したって、彼女たちから返ってくる言葉は「うるさい死ね!(包茎ノゾキ野郎)」か「おはよっ(おちんちんの小さい鷹橋くん)」のどちらかだろう。

 もう二度と普通の学校生活は戻ってこない。

 彼女たちの頭から僕が無毛で包茎だって情報は消えてくれないんだ。

「何も言わないなら…、千菜を襲った件、ここで改めて学級裁判よ?」

「へ?」

 友理子が女子たちの輪を抜けてどこかに行っていたと思ったら、何か持ってきたようだ。

 千菜が教室の隅で顔を赤くして下を向いている。

 友理子が手に持っているのは、カピカピの精子がこびりついた例のアレだ。

 ビニール袋に入った千菜のブルマだった。

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