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女子のお誕生会で(1)

またしばらく短編小説を書いていきたいと思います。

文量は少なめですが。

リクエストのあった女子のお誕生会の話を書きます。

※プロローグみたいなものはこちら

http://cfnmkitchen.blog.fc2.com/blog-entry-185.html


 気になっている女子のお誕生日会に呼ばれてしまった。

「なあ草凪! 7月1日の土曜って空いてるか?」
 隣のクラスのサトシが話しかけてきたのだ。彼のグループが4人、ウチのクラスからは3人の男子が参加メンバーになっているらしい。
 俺を入れて4人目だ。
 女子と馴れ合うのは男子としては格好悪いことだという暗黙の了解があり、普段ならこんなチンケな誘いは絶対に受けない。女子のお誕生会なんてクソ面白くないに決っているしな。

 だが主賓はあの中邑だ。
 中邑は気立てが良くて頭もいい。家が金持ちで顔も可愛いときたら、みんなからの求心力もあるだろう。さらさらのポニーテールが揺れているのを見ると、つい目を奪われてしまう。足が長くてスタイルもいいんだ。
 他の女子どもに比べればかなりの美少女。気になるっちゃ気になる…。
 だが男としてはおくびにも出してはいけない。好きなんだと思われると面倒なのだ。特に男子たちにはバレたくない。だからまあ、ちょっと口を聞いてやってもいいかなというくらいさ。
「1日の昼の1時からな!」
「おう」

 サトシたちがニヤニヤしながら帰っていく。それを廊下で見送る。俺は教室に戻って周りを見渡した。
 いつも通りのクラスで男子は男子で固まって遊び、女子は女子で固まっている。後ろの方で誰かの教科書をサッカーボール代わりにしてサッカーが繰り広げられているし、女子どもは男子が存在しないが如くお喋りに興じていた。
「?」
 中邑を見ると一瞬で顔を背ける。
 ポニーテールが揺れた。今こっちを見ていたのか? いや気のせいか…。彼女は机の上に次の時間の用意を始めていた。もうすぐ鐘が鳴るからだ。
 相変わらず可愛い。
 なんであんなに身体の線が細いのか!

 12回めの誕生日は盛大になるのだろうか。今までだったらプライベートなパーティーに俺が呼ばれることなんてなかっただろう。
 しかしあれから妙な結束というか連帯感というのか、俺の全裸歩行事件は女子の間では語り草のようなのだ。俺に対する目が何だか変だった。それまであった敵対心みたいなものがなくなり、好意の目というのは言い過ぎだ、が緩やかな宥和(ゆうわ)があるのは確かだ。

 裸を見合った仲だしな。
「退きなっ」
 笹木が後ろからドンッと突いてくる。

「って!? クソ! テメー! ブス!」
「何だよ! 入り口に突っ立ってるあんたが悪いんだからね」
 笹木は渓口と共に連れションから帰ってきたところのよう
だ。駆け抜けるようにして友人たちの元へ戻っていった。
 よく陽に焼けた肌で快活な笹木だが、この頃 妙に女っぽくなってきやがったな。ショートパンツから伸びる太ももが妙にむっちりとして肉感的だ。中邑には及ばないものの、サイドポニテの髪が揺れて可愛… いや、そんなことはないか。不細工がいくら努力しても駄目なものは駄目だ。

 中邑とそんなに仲がいいって程でもないからアイツがお誕生会に来ることはないよな…。性格だって真逆だし。
 俺がお誕生会に参加するなんて知られたら笑われるんじゃないだろうか。頼むからあんなやつ、呼んでくれるなよな…。

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