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お楽しみ会で 〜地獄のフルチンフルーツバスケット〜(6)

 △リュウシン


 『誤算』

 としか言いようがない。


 マリリンや靖奈たち女子の協力を得ながら、その彼女たちを窮地に追い込む結果になったことは如何ともし難い事態だ。竜心の描いた策『籠目システム』は充にも提案したわけで、ほとんど全員の意思でもあったはずだ。チビ太を嵌めて自分たちは安全圏に回避できるという提案に、チビ太以外、反対する者はいないと思われていた。だが実際にはマリリンや靖奈もパンツ丸出しという憂き目に遭っている。靖奈などはパンツも脱がなければならない状況にまで追い込まれたのだ。ここまでくれば、もはや誰が餌食になってもおかしくない。


「朝食がパンの人!」

 鬼になった中目 奈々(なかめ なな)はスカートを脱いだ状態、パンツ丸出しの恰好で叫んだ。モジモジッと腰をくねらせて恥ずかしそうにシャツを伸ばしできるだけパンツを隠している。

 だが三角形のスポーティな下着は男子たちの目を釘付けにしていた。

 鬼が出した条件に半数近くの人が席を立ってバラバラにコートの中を走る。奈々は手で人垣をかき分けるようにして、プリプリのお尻を振りながらパンツやおヘソがかなりオープンになるのを厭わずに全力で駆け抜けた。

「どいてよ! もうっ」

 人前でパンツを丸出しにするのは男子ならまだしも、女子はキツイだろう。学級委員としてこうならないように配慮し協定を結んだつもりだったのに。

 それならば彼女を新たな『生け贄』にするしかない。

 これ以上の被害者を出さないためにも奈々を籠目システムで鬼にし続けるのだ。


「取った!」

 竜心は奈々が座れないように奈々の妨害をした。肘鉄が奈々の胸の辺りに当たったような気がする。竜心とバッティングした奈々は裾にメロン色のラインの入ったパンツを丸見えにしながら「きゃあんっ」と弾き飛ばされる。

「ちょっとそこアタシの席!」

「僕のほうが早かったよ」

 竜心の思惑を何人の生徒が理解しているだろうか。奈々を新たな生け贄として嵌めるつもりだと気づいてくれるのは充くらいではないか。

「こっちはパンツいっちょなんだよ!?」

「関係ないね。これはゲームなんだからルールが絶対だ」

「もうっ」

 顔を真っ赤にして怒る奈々。普段のおちゃらけたキャラはどこにいったのか。この地獄ルールは人を狂わせる作用があるらしい。



 竜心は奈々に恨まれていた。

 次のターンで奈々は「学級委員の人」とかなり限定した条件で攻めてきたのだ。動く人数が少なければ奈々が鬼を回避できるチャンスは少ないはず。だがそんなことはお構いなしに奈々は竜心を狙い撃ちした。竜心が座ろうと思った席に、奈々はパンツやおヘソが丸出しになるのを恐れずに突っ込んできたのだ。

「うあああ!」

「わっ」

 竜心は勢いに気圧されてしまった。イスに接触しながらも無理やり奈々に席を奪い取られてしまう。奈々はイスごとびたーんと大開脚しながら倒れて、なおイスを離さない。パンツを男子に見せつけるような恰好でイスをカニバサミしている。あられもない恰好だ。

「どうだっ! 意地悪学級委員長めっ」

「くっ」

 他のイスを探そうにも動いた人数は元々少ないので既に空いている席はない。

 竜心が鬼となってしまった。

「ぎゃははっ リュウシンばっかでー! 鬼になってやんの」

「女子なんかに席取られてんじゃねーよ」

 男子たちから野次が飛ばされる。

「次のターンで回避するさ」

 クールに竜心はセンターサークルへ赴く。

 そして恥ずかしいという感情を捨てて鬼の証であるパンツ一枚の姿へ。ズボンを脱いで真っ白なブリーフを公開した。


「やだ、委員長が鬼になっちゃった」

 マリリンが心配そうに竜心の股間を見つめた。もっこり具合をうっとりと目に焼き付ける。


「やん。恥ずかしいよぅ」

「森谷くんが… え、マジ?」

 女子たちは竜心が汚れ役を担うことに戸惑いを感じているようだ。普段からハズレくじを引かない彼がこの地獄ルールにハマること自体、おかしな状況なのだ。


「ざまぁ! へへーん」

 空気を読まない奈々はスカートを穿いて鬼を回避できたことに安堵しているようだった。普段の笑顔が似合うキャラにもう戻っていた。

「次も鬼になったらおちんちん丸出しなんだよね!?」

 根に持っているのか奈々は次のターンも竜心を狙い撃ちするようだ。というより、女子たち全員に暗示をかけたと言ってもいいだろう。

『委員長のおちんちん…』

 ゴクリと女子たちの喉が唸る。

 クールでイケメンで文武両道の竜心を丸裸に。竜心が画策しても充くらいしか意図を理解しなかった作戦を、あろうことか逆に食らうことになろうとは。


 みんなで協力して竜心を籠目システムに嵌めよう。女子たちは目だけでお互いにそう会話しているようだった。


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