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【プレビュー版】正義のためにセクハラ冤罪で女子たちに恥辱すぎる解剖の刑に処される僕

 教室を支配する僕たち5人のメンバーは、ほんの少しの亀裂から瓦解に至ってしまった。これは『最強男子軍団』が一人の女子の卑怯な手に負けてしまう物語―。

※パブーのブロマガに載っけてる短編です。若干胸糞な展開をします。プレビュー版で冒頭シーンを掲載しました。本編は本日25日20時に配信されます。


正義のためにセクハラ冤罪で女子たちに恥辱すぎる解剖の刑に処される僕

 僕は皆口凛(みなぐち りん)というクラスメイトの女にはめられたのだ。


「何もしねぇんだったら帰れっ!」

 暗くて大人しい小島純子(こじま じゅんこ)を社会活動のグループに入れてやった。純子は見た目キレイなのにお嬢さま育ち過ぎてポンコツなんだ。壁新聞をつくるのに企画案も出せないし作文も書けない。写真だってまともなものが撮れない。取材に行ってもICレコーダーのスイッチを押し忘れてしまう。何をやらせてもダメな女子だ。

 僕は肩をどんっと押して向こうに行ってろという意味で「帰れ」と言ったのだった。


「酷ぉい」

 リンはムッとした口調で僕を責めた。肩甲骨まである長い黒髪に太い眉。普段は大人しいのに意志の強い目、口元。ショートパンツから伸びた健康的な太い足。背は小さいけど小麦色の肌でスポーティな感じだ。女子たちの中では頼れる姉さん的なポジションの女である。


「こいつ居たってなんの役にも立たないだろッ」

「そういうことは言っちゃダメなんだよ!」

 リンはすぐさま純子の元に駆けつけた。

 僕たちの班は男子2・女子2で構成されている。もう一人の男子は城島(しろじま)というやつで学級委員長も務めている。

「おいおい山田、今のはお前が悪いぞ。暴力はダメだ」

 城島は僕をたしなめた。

 この城島を中心にして『最強男子軍団』と言われている5人のメンバーがいる。僕はその一員だ。修学旅行の班決めや給食の配膳管理に至るまで主導権を握って和を乱すやつがいないか睨みを利かせているんだ。警察的な役割を担っているような感じかな。


「ちょっと山田っ! どこ触ってんの!?」

「は?」

 リンを見ると純子をかばうようにして僕をキッと睨んでいた。純子のほうは胸の前で手をクロスさせてうつむき加減で耳を赤くしてる。そのおかげで教室中が一気に騒然となった。


「なんだなんだ」

「乳揉んだのけっ!?」

「どうしたの??」

 男子も女子も集まってくる。そしてなぜかおっぱいに触ったという話になって盛り上がってしまった。


「なんでこんなことするのッ?」

「はぁ? 触ってねえぇし!」

「確かに肩を押したように見えたけどな… まぁ、ちゃんと見てなかったけど」

 近くに居た城島とリンでもハッキリと現場を目撃したわけではない。


「お前ら煩いぞ! 二人ともやめろっ。みんな自分の班に戻れっ」


「エロ男子のことだから触ったに違いないわよ!」

「山田酷ぉーい」

 城島の制止でも騒ぎは止まなかった。クラス中は俺を悪者にするのだ。

「大丈夫? 純子ちゃん」

「ぐす…」

「“せくはら”だわ! こんなの!」

「そうよ。そうよ。せくはら! せくはら!」


 騒ぎになって社会科の授業は一時中断となった。だが先生の「騒ぐんじゃない!」という一喝で僕たちはやっと黙った。この事件をきっかけに僕は山田メンバーと言われることになったのだ。


 まったくガキだな。覚えたてのセクハラという単語を使いたいばかりに僕を貶めるなんて。純子はこんな嘘をつけるようなタマじゃない。リンが入れ知恵して仕掛けてき
たに違いないさ。

 僕は確かに肩を押したはずだし、感触だって硬かったはず。だが僕の普段の素行が横柄なところもあって“疑惑”は既成事実として広まっていった。

 先生はこの事件に一切 関知しない立場をとる。僕はしばらく腫れ物扱いで誰も話しかけてこなくなった。クラスの支配者である最強男子軍団でも騒ぎを治められなかったこともあり、城島などは責任を取ってやめろと言われるようになってしまう。どうして城島があんなに言われなきゃいけないんだ。文句があるなら僕に直接言えばいいのに。汚いやつらめ!


 城島を含めた僕たち5人の男子はそれまでとても仲がよく、いつも一緒に遊んでいた。バンドをやったりバスケをやったり、チームワークは抜群だった。でも僕の『おっぱい触った』疑惑はメンバー間にも亀裂が走る。運動神経や頭もいい、何をやらせても最強と言われた僕たちは自然と瓦解していくことになったのだ。

 ただ僕が瓦解と思ってるだけで、城島たちは4人でやって行こうとしている。何かあっても連帯責任だと言っていたメンバーも居たのにな。僕を切り捨てることで女子たちからの批判を躱そうとしているらしい。

 そんなのは許せない。

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