朝から急な用件がいくつか発生してその対応に追われ、昼を食べ損ねてしまった。最近ずっと忙しい。プライベートな時間が持てないほどだ。たまに家に帰ってもシャワーを浴びて寝るだけ。
こんなことではいけないと仕事を抱え込まないように努めてようやく忙しさも一段落してきたところだった。夕方からは時間に余裕ができて、取引先からさあ帰ろうかというとき、俺の目にハンバーガーショップの看板が飛び込んできた。
「ちょっとくらい行けるか」
俺は吸い込まれるように店の中に入っていった。店内は程よく空いており、大学か高校生くらいのアルバイトであろう女の子が笑顔で出迎えてくれた。
「っしゃいませー。店内でお召し上がりですかぁ?」
「おぉ」
「ご注文のほーどーぞー」
口の聞き方が子供っぽい。まだ社会の荒波を知らない、いかにもアルバイトという感じだ。適当に注文を済ませ、番号札を渡されて適当な席を探す。
無意識に選んだ場所は店の奥の方、角っこのベンチシート席だ。4人がけの席だが店内も空いていることだし堂々と使うことにする。人目も少なく人の行き交いも少ない。俺はノートパソコンをカバンから取り出し、仕事の資料を広げた。遅い昼飯を摂りながらも仕事のことを忘れない俺。俺は黒縁メガネをくいっと持ち上げて自身に酔っていた。
注文の品は時間が経ってもなかなかやって来ない。俺は取引先へのメールを打ちながらそれに気づいて腕時計を見やる。店に入ってから15分ぐらい経過している筈だ。こんなに待たせるとは、なんて店だ。クレームを言ってやらなければ。ふと顔を上げて周りを見てみると店内が少し混み合ってきたみたいだった。制服姿の女子高生が多いようだ。そう言えば近くに女子校があった。下校の時間と重なったのだろう。
店の壁を背に座っている俺の左斜め前の席に、スカートの短い二人組の女子高生が現れる。二人掛けの狭い席だ。その席に座るようだ。二人組で狭い席しか空いてないから仕方なく座る女子高生と、混み合ってきたのに4人がけの席に一人で座る俺。彼女たちはコートを脱いで窮屈そうにしながら着席していた。
そのとき通路側に座った女子高生のスカートから見える生足に目が行った。約1メートルぐらいの近い距離で若い女子の生足を拝めるとは。。最近忙しくて女っ気もなかった俺にとっては良い目の保養となった。
俺の前方のベンチシート席ではおばちゃん3人組が騒いでいた。彼女たちはやがて席を立ち帰っていく。その空いた席に先ほどの女子高生二人組が移動し始めた。席を立ってスカートをひらひらさせるものだから、俺はノートパソコンに目を向けながらもチラチラと女子高生の柔らかそうな生足を盗み見てやった。俺は満足しながらメールを打つ。
すぐ後にまた別の女子高生二人組が現れた。彼女たちは左斜め前の狭い二人がけの席に座るしかない。その時も通路側に座る女子高生の生足をじっくりと睨め回してやった。もちろんバレないように注意を払った。少し足が太いようだがそれもまたいい。
あらためて周りを観察すると俺から見える席にはすべて女子高生が座っている。死角になっている席には男の声やおばちゃんの喚き声も聞こえるから、偶然この一角に女子高生が集まってまったのか。それともこの時間帯はいつも彼女たちがココを専有しているのかも知れない。
気付かれずにたっぷり生足を見てやったことだし、そろそろクレームを言いに行くか。いったいいつまで待たせる気なんだ。席を立ってカウンターに向かう。
「おい、注文したもんがまだ来ないぞ? どうなってる?」
カウンターには来店したときに対応した若いアルバイト女子が立っていた。
「へ? て、店内でお召し上がりですかぁ?」
「いや… そうじゃなくて注文しただろ? ほら番号札」
「はー?」
俺が番号札を見せると何か思い出したように「はっ失礼しましたー」と言って奥に注文を確認しに行った。そして戻ってきたアルバイト女子は「すぐに作ってお持ちしますー」と頭を下げる。
「ったく… どうなってんだ?この店はよっ」
俺はクレームを言わずに悪態をつきながら踵を返す。…ま、可愛さに免じて許してやるぜ。俺は心が広いんだ。
席に戻ると異変が起こっていた。俺の座っていたベンチシート席に見知らぬ人影が。なんと楽しそうに騒いでいる4人の女子高生だった。