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レッスンの後で(4)

 健次郎はピアノの前で上着を脱ぎ去った。ちらりと眞美の方を見る。
 眞美は真剣なまなざしだ。無言の圧力があった。健次郎は観念してズボンを脱いだ。白いブリーフが露出する。
 ブリーフの中心が異様に盛り上がっていた。
 わずかにお嬢様たちの息遣いが変化した。
 友美が鼻でふふんっと小さく鼻で笑う。腕組みをしてにやにやと健次郎を見ていた。
 優里亜は手を口に当てながら、目を見開いていた。じぃっと健次郎の股間に注目する。
 無言で見守るお嬢様たち。
 合宿が始まったときは、まさかこんなことになるなんて思ってもみなかった。
 健次郎の顔がみるみる赤くなっていく。
「…はっ…んぐっ…」
 意を決して勢いよくブリーフも引き下げた。
 隆々と勃起したおちんちんが顔を出した。
「…っ」
 眞美は生唾を飲み込んだ。男子のおちんちんを見るのは生まれて初めてなのだ。
 舞は両手を口に当てて声が漏れてしまうのを防いだ。初めて見るおちんちんに恐怖心の方が勝っているようだ。
 流加奈が健次郎の真後ろに移動する。彼のお尻をもっと見てやろうというつもりなのだろう。
 ミチルも勃起してカチカチになっているおちんちんを見るのは初めてなのだろう。健次郎の股間を見つめて、いつにも増して固まっていた。
 健次郎は裸のままイスに座ってピアノに向かいあう。手を鍵盤の上に添えた。股の間から元気よく上を向いたおちんちんが突き出ていた。ぷらぷらと揺れている。
 同い年の女子たちに一方的に裸を見られるなんて、屈辱的だがしかし健次郎は気付かない内にこの状況に慣れ始めていた。どうして勃起してしまうのかをなんとなく理解し始めているのだ。
「ぅぷ…」
 ミライは目を細めて満面の笑みを浮かべていた。吹き出しそうになるのを堪えている。おもしろくて堪らないといった様子だ。
 よし乃はどぎまぎした表情で、ルリは小さく口を開けて興味津々といった様子で健次郎のおちんちんを見つめていた。彼女たちにしてもおちんちんを見るのは初めてだったのかもしれない。
「ぁ…じゃあ…入れますよ?」
 眞美がピンクローターを持って健次郎の後ろに回りこんだ。健次郎は恥ずかしそうに腰を浮かす。挿入に協力するためだ。
 ぐっ…ぐっ…
 眞美は慣れない手つきで健次郎のお尻の穴を探した。何回も電気プラグでも刺すかのように、力加減もわからずぐりぐりと押し込もうとしていた。
「ぅおっあっぃ…」
「ちょ…へ…変な声出さないでっ」
 眞美は力任せにぐりぃっとピンクローターを突き上げる。お尻の穴を外れて金玉袋にぐりぃっと突き当たってしまった。
「あがっぉ!」
 健次郎はピアノに突っ伏してしまい、鍵盤がでたらめな大きい音を放った。
「ぁっごめんなさい…」
「ぉ…ぉ…」
「あの大丈夫ですか?」
 眞美が健次郎の顔を覗き込んだ。つらそうな表情をしている。
「んおだ、だいじょ…ぅぶ」
 クスクスとお嬢様たちは笑っていた。ミライなどはついに声を上げて笑ってしまった。
「もっとお尻を突き上げた方がよくない?」
 流加奈が眞美の後ろからアドバイスする。
「林田くん、イスの上にひざ立ちになってよ。お尻を眞美さんの方に向けてね」
 友美がすかさず口を挟んできた。
 健次郎はもうここまで裸を披露してしまったのだからと、抵抗なくイスにひざ立ちになった。金玉袋がまだ痛むが股を開けてお尻を突き出す。そのままピアノに寄りかかって雌豹のポーズをとった。
「たっぷりローション塗ってあげないとね」
 流加奈が用意していたゴム手袋とローションを持ち出してきた。
「あ、そうですね…」
 眞美はそのことに思い至らなかった自分を恥じる。力任せに押し込んでも入らないはずだ。
 眞美は手渡されたゴム手袋を嵌めて人差し指にローションをたっぷり垂らす。
 ぬっぷりと液体が絡み付く。
「いきますね」
 眞美はその人差し指を健次郎のお尻の穴に突っ込んだ。それも力加減がわからずに強引にずりずりとねじ込んでいた。
「うぉうう!」
「…」
 顔を赤くしながらも使命感に満ちた眞美は人差し指を第二間接までしっかりと入れた。
 ずぷっ
 人差し指を抜いてピンクローターを再び手にする。
「今度はちゃんと入れます…」
 ぬぷっ
「ぁっ…ん」
 間髪を入れずに差し込まれたピンクローターが見る見るうちに吸い込まれていった。
 クスクス笑いやにやにや、おっかなびっくりといった好奇の目を向けたお嬢様たちが健次郎の表情を観察しようと覗き込んでやった。この屈辱が、さらにおちんちんを勃起させるのだ。彼女たちは一様に高揚した表情を健次郎に向けていた。
 静まり返る。
 健次郎はイスに座り直すが、ピンクローターのせいで座りづらい。足をもぞもぞとさせて、表情が歪む。
 かちりとスイッチが入った。
 誰も声を発しないこの空間で、女子たちが息を呑む音、自分の心臓の音が響き渡る。その間をぬってヴィ〜…っと何かの振動音が部屋中にこだましていた。
 健次郎は息をのんで鍵盤に指をあてがう。彼は裸で、おちんちんを屹立させたまんま、不公平にも服を着た女子たちに囲まれて演奏をしなければいけないこの状況に、屈辱的で悔しい筈なのに、言いようのない幸福感を味わっているようだった。歪んだ表情から恍惚とした表情へ変わっていく。
 静寂の中、健次郎は演奏を始める。
 このピアノレッスンの合宿を計画したのは眞美だ。
 健次郎が呆けたように骨抜きになって帰ってきたことが原因だ。学校で顔を合わせた眞美は驚いた。眞美はこうなった原因が良香の仕業だと気づいて、健次郎の気をこちらに向かせるために良香を遠ざける必要があると判断したのだ。
 しかし思っていた以上に良香の呪縛は強力だった。
 何をされたのかは眞美たちの知る所ではないが、健次郎が良香がされたこと以上の屈辱や快感や苦痛を与えれば自分のところへ戻ってくると眞美は信じているのだ。
「ん…んん…ぁっ…んん…」
 ピンクローターの威力は絶大だった。
 良香の呪いなのか、先刻までの健次郎はどんなに勃起していても演奏はいまいちだったのだ。異性の前で服を脱がせてピンクローターを使うだけでかなりの効果が期待出来る。
 その音はお嬢様たちの心を打った。エレキギターをかき鳴らすような演奏だ。今まで聴いてきたどんな演奏よりも訴えてくるものがあった。
 ピンクローターのおかげですっかり彼の演奏は情熱を取り戻していた。良香の呪縛が解けたのだ。
 だが、まだ上を目指せる筈だ。こんなものではないと眞美は思う。
 健次郎もその思いをひしひしと感じていた。だから、お嬢様たちに見守られ、おちんちんがさらに上向きになるのだった。

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