キャンプ合宿を通じて新しくできたお友だちとの親睦を深め、みんなで協力してテントの設営や食事をつくることで協調性を学ぼう。
オリエンテーションとしてみんなで協力して何か大きなことを成し遂げることが、建学の精神の一つであるらしい。
この合宿で得たことを、今後の学校生活や家庭でのお手伝い等に生かし、後輩たちに教えていきましょう。と、教師たちは語った。
だけど僕の眼中には早川しか居なかった。
早川とはC学生になって初めて知り合ったのだから、ぜひとも親睦を深めたいと思う。
僕、都築寛太(つづき かんた)は早川琉夏に恋をしていたのだ。
教師陣も暗にそういうことに配慮したのか、男子の班と女子の班は合同で行動することになっていた。
僕のクラスは男子が5班、女子も5班まである。全体で男子の数が多いから1班の内訳は男子が4人、女子が3人だ。
そういうわけで、男子の第5班と女子の第5班は合同でテントを設営していた。
基本的には男子が骨組みを建てて、女子は後ろで見ているだけで良かった。こういうときの男子は良いところを見せようと率先して動くのだ。
「早くしてよー」
小倉坂麻友(こくらさか まゆ)は木陰でうちわを扇ぎながら言った。紺色のジャージの上着を腰に巻き付けている。小倉坂のために僕ら男子は動いているわけじゃない。
僕は早川のためにがんばっているのだし、小倉坂の隣りにいる歌方(うたかた)さんのためでもある。
「今どきワンタッチでテントができないなんて、こういうところにお金を使えばいいのに」
早川はロープを引っ張りながら文句を垂れる。男子に混じって働く早川は輝いて見えた。流れる汗も美しい。動かない小倉坂とは大違いだ。
「でも協調性を学ぶものだから、買えないんじゃなくてワザワザ手間がかかるようにしてるのかも…」
「まじめだね」
あっさりと早川にシャットアウトされてしまった。車の走っていない交差点で信号待ちをしていたら、後ろから来た早川に追い越された気分だ。彼女の判断基準は信号ではなく車が来ていないかどうかなのだ。
「あ… あの…」
後ろで蚊の鳴くような声がしたけど、手が離せなかったので振り向きはしなかった。声をかけてきたのは歌方 澪(うたかた みお)だろう。背が低くて、いつもオロオロしている印象の女子だ。カールしたブラウンの髪に泣きそうな表情がデフォルトで、だいたい早川と一緒に居ることが多い。
「手伝おうかな」と聞こえたような聞こえなかったような、それきり歌方さんの声は途絶えた。箸より重いものは持てなさそうな彼女にやらせる訳にはいかない。
反対側で僕以外の男子たちが作業の完了を告げていた。
こうして普段 交流を持たない男子と女子が一緒に居るというのは、何かが起こりそうな気がしてワクワクとしてしまう。
夕食はカレーをつくることになっているけど、否が応でも期待してしまうのだった。
*
またしっとりと雨が降り出してきた。
みんなどこに行ってしまったのだろう。キャンプ場だったところはどうなっているのだろうか。あのテントも荷物も何もかも流されてしまったのかも知れない。
みんな生きているのだろうか。
助けは来るのだろうか。
僕は早川の丸いお尻から目が離せなかった。あの薄い合成繊維の向こうに美味しそうな桃尻があるのだと思うと、思わず生唾を飲み込んでしまう。
もうどれくらい歩いただろう。日が暮れる前に山を降りられるといいのだけど。早川は頼りにならない僕を置いてさっさと歩いて行ってしまう。離されないようにピッタリと後ろをついていくしかなかった。
女子のお尻って歩くとき、あんなに横揺れするんだ。扇風機みたいにお尻を振って、原始的な恋心に火が付きそう。いつまで経っても勃起が収まらないんだ。僕は前を押さえながら歩いた。
「…」
ひょっとしたら早川は違う意味で危機を感じているのかも知れない。
全裸の男子がおちんちんを勃起させて足早に付いてくるわけだから、いくら遭難したと言っても一緒に行動したくないと思っているんだ。現にさっきより歩くスピードが上がっている気がする。
僕としては見失いたくないのでお尻を凝視するしかない。それはメス猿が発情期でお尻を振っているみたいだ。早川が逃げれば逃げるほど、僕の勃起は収まらないだろう。
ハァハァと息切れしてきてしまった。持久力がないので長時間 歩くのは辛かった。
おちんちんを押さえながら歩くのも限界だ。早いスピードについていくには手を横にして振るのが自然。早川は後ろを振り向かないようだから大丈夫だ。
草を掻き分けやすくなった。
自分の肉棒が上を向いて反り返り、右へ左へと揺れた。早川のお尻がぷるぷると震え、フリフリと僕を誘う。
おちんちんはフリフリとメトロノームみたいに横揺れした。しっかりと尿道口が見下ろせる。金玉袋も弾んでぺちぺちと内腿に当たる。
「ハァハァ…」
もう我慢できない。
目の前にお尻があって、あんなに誘われて、触って揉んでみたい衝動に駆られる。だけど開放の仕方が解らない。そこから先がどうしていいか解らないのだ。おちんちんを擦り付けたら気持ちいいだろうな、くらいしか想像が働かない。
「ねえ、雨 強くなってきた。急ごう」
不意に早川が振り向いた。当然のように勃起おちんちんを目にすることになる。応援団が必死に旗を振るみたいに、硬い肉棒は右に左にフレーフレーしている。
長いまつ毛が可愛らしかった。
群青の瞳がしっかりと皮を被ったおちんちんを目撃する。
早川は僕が全裸で勃起していることは把握しているのだから、バカみたいに揺れるおちんちんを見てもさほどリアクションしない。すぐに前を向いて指をさす。
「あそこの大きな木のとこで雨宿りしよ」
「っうん」
僕は今さら両手でおちんちんを隠しながら早川に従うのだった。