雨脚は強まった。
大木の下に雨宿りするが雨は防げなかった。結局ずぶ濡れだ。
水着姿の早川と並んで僕はどうしたものかと迷っていた。他に雨宿りできるところを探すべきか、この場を動かないほうが得策なのか。
早川は身体を斜向けて無言のままだ。僕も前を向いて考えごとをしていたのでおちんちんは萎んできた。あまりの大雨に興奮が鎮められてきたようだった。
ときどき、ふと横目で早川の様子を探ってみる。怒っているのだろうか。いつもみたいにブーたれているのだろうか。髪に隠れて表情は読めない。
解らないけど、早川も同じように横目でチラチラと僕の様子を探っているみたいだった。鼓動まで聞こえてきそうな距離感。ドキドキがずっと止まらない。
「ねえ、なんかヘンじゃない?」
不意に早川が振り向いて聞いてきた。その目で射抜かれて僕は目を逸らすことができない。
「え?」
僕は驚く。
躊躇せずに早川は僕のほうに顔を向けたのだ。それはつまり勃起が収まったかどうかをちゃんと確認していたということだ。勃起したままなら恥ずかしがって堂々と見ないはず。チラチラと窺っていたのは僕の様子ではなくおちんちんの様子なのだ。
それとも「勃起おちんちんなんか見ても何ともないわよ」と慣れてしまったのだろうか?
「この辺りの感じ。最初にみんなで居たところと同じじゃない?」
「ん、え? あ? この辺? い、いやぁ… わからないな…」
山の中の景色なんてどこも同じだ。登ってくるときに付けられていたマーカーも雨に流されてしまっただろうし。
「あ、やっぱりあの木とか岩の感じとかそっくり。何だよもうっ。なんで戻ってきちゃったわけ? 迷いの森みたい。とりあえず最初の鍾乳洞なら雨宿りできるかも知れないから走ろ?」
早川が喋っている間中、僕は改めて女子の裸が近くにあると意識していた。離れているのにかすかに体温を感じる。膨らみはじめのおっぱいの曲線や、スク水なんかでは見れないおヘソの窪みや鋭角的ないやらしい股間の形。寒そうに鳥肌の立ったきめ細かい肌。本人が気づいてなさそうな、背中の下のほうにあるホクロ…。見て欲しくないような恥ずかしい部分にまで目を凝らす。女子の身体ってなんでこんなに柔らかそうなんだろう…。
「そうだね。雨で身体が冷えちゃうから雨宿りできるところを探したほうがいいかな…」
僕は結局、決断できずに早川にすべてを委ねていた。
「疑ってる? 違うかもだけど、あ、あの蔦の垂れ下がり方とか枝がクロスしてるところとか、間違いないよ。いこっ」
早川はそうして強引に僕の手を取って走り出した。
「ぁっ …ん… あっあっ あぁん…」
少なくとも早川は手を取ったと思っていたらしい。手首を握っていると思っているのだろう。二日間、一緒に居たのだから僕が頼りない身体をしていて優柔不断であることもよく知っている早川だ。弟でも連れていくみたいな感覚で、駄目な僕の腕を引いてやらなければと思っているのかも知れない。
再びビンビンに勃起していたおちんちんは、股間の葉っぱを退かして鬼のようにそそり勃っていた。
頼りない僕と違って武将の兜のツノみたいに立派だ…。
温かい早川の手のひらにしっかりと包まれて、僕は女の子の手の柔らかさを知った。
「はぁん」
僕は両手をだらりと、ブラブラさせて走った。早いペースで走る僕たち。腰を前に突き出すような恰好だった。竿の中腹辺りをしっかりと握られて圧迫される。
早川は片手をかざして雨を防ぐように走る。
目の前でお尻がぷるんぷるんと弾んでいた。スプリンターのように美味しそうな太ももだ。雨に濡れた女の子の身体ってなんてエッチなんだ…。
スピードが早くなる。
おちんちんが引っこ抜かれるのではないかと思うほどに僕の都合なんて彼女は気にしない。
エッチなことを考えた罰を与えられているのかも…。
「ぁっ… ぁっ… ぁっ…」
恥ずかしい声が漏れてしまうけど雨音でかき消される。
「やっぱあった。あの鍾乳洞っ。戻ってきちゃったみたいっ」
山の中で身体を冷やすのは良くないと聞いたことがある。いくら夏でも危ないのだ。雨に長いこと打たれるのはまずいから、だから早川はさっきよりもさらにスピードを上げるのだろうか。
肉の竿をギュッと強く握り込まれ、曳航船のように力強く僕を引き摺った。
このままでは握り潰されるのではと怖くなる。一瞬、暴走族のバイクに引き摺られる絵を想像してしまいゾッとした。
「はっあん… ぁっ… ぁああんっ…」
雨で誰にも聞こえないのを良いことに我慢することなく大きめの喘ぎ声を出していた。
僕は女の子が走っているときみたいに腕を振った。いくらか走りやすくなる。僕は自分が女子みたいだと自覚することで感度が高まっていることに気づいた。
お母さんに「男の子なんだから泣かない! しっかりしなさい!」と叱られた幼き日を思い出す。事あるごとに男はこうでなければと躾けられ、僕も強くあろうと思うのだ。
だけど、早川には敵わないよ…。
おちんちんの根っこがメキメキと音を立てているような気がした。引っこ抜かれないように僕は実力以上のスピードで女の子走りをしていた。
「ぁはんっ」
遭難したという危機感より、おちんちんが抜けてしまうのではと恐怖する。
「もうすぐだよ!」
早川はむぎゅううと僕の手を強く引く。手首だと思っているんだろう。強く引っ張ってくれなければ僕みたいな何も決められない人間はその場に留まったままなのだ。
つまり早川はまだ僕を見捨てていない。ということは、まだわずかな信頼があるのだ。
それは疑心暗鬼に陥って僕を見捨て、バラバラになったみんなと違うということ。
僕も早川を信じて、付いていこうと思った。
コメント
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投稿お疲れ様です
拍手しようとしたのですが404エラーが出てしまいました
何か不具合でも起きてるのでしょうか・・・?
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> 投稿お疲れ様です
> 拍手しようとしたのですが404エラーが出てしまいました
> 何か不具合でも起きてるのでしょうか・・・?
ご報告ありがとうございます。返信おそくなりました。
拍手は入っているようです。
コメントを頂いた日時と拍手があった日時を調べてみましたが
ほぼ同じタイミングで頂いているようなので、機能しているものと思われます。
サーバーの不具合かどうかはわかりませんが、たまたま変な現象に見舞われたようですね。
拍手ありがとうございました。
拍手を頂けると書く原動力になります!
やっぱり何かしら反応があると嬉しいものですね。