希美に押さえつけられたまま、拓は暴れ疲れて一時休戦した。息を切らせて希美を見上げるしかできなかった。
「史ちゃんの出番だよ」
史奈はカバンの中からカッターナイフとハサミを取り出していた。
「ほんとにやるの?」
「当たり前でしょ。ここまでやってさ」
「うん」
拓は危機的なものを感じた。後戻りの出来ない袋小路に迷い込んだかのような絶望感。
「今からあんたをめちゃめちゃに犯してやるからねっ」
「…な!?」
笑みを浮かべていたが目は笑っていない。希美は冷たい眼差しを拓に向ける。
「ごめん、たっくん…」
「あぁ!?」
史奈はユニフォームの袖にカッターの刃を入れる。
「暴れないでよ? 変なとこ切れちゃうからね?」
希美が忠告する。ビリリッとユニフォームが引き裂かれた。
「お、おいっ! 何やってんだ!!」
「だから暴れんなって」
「危ないって! やめろっ! 俺のユニフォームに触んな!」
拓の言葉を無視して史奈は器用にカッターとハサミを使いながらユニフォームを裂いていった。幾重にも刃が入って拓の着ていたものはボロ切れと化していく。アンダーシャツにも刃を立ててビリビリと破いていった。
「史ちゃんがあんたにレイプされたって聞いたときさ、私ぃあんたのこと殺してやるって思った…」
「は…?」
「この娘がどんだけ思い悩んだか知らないでしょ?」
「レイプだと? ざけんな! そんなつもりで抱いたんじゃねえ!!」
「はいはい、何言っても無駄」
「バカやろっ。くそっ。史奈、お前、俺が犯したとか本気で思ってんのか!?」
史奈は答えずに作業に専念した。既に拓の上半身は剥がされて露出していた。
「そりゃ付き合う前にやったのは悪いと思ってるけどよ、俺はちゃんと付き合いたいと思ってる!」
「聞いちゃ駄目だよ、史ちゃん。こいつの言い訳なんて」
史奈は頷く。
「違うっ。俺はマジだ!」
何を言っても聞き入れられることはなかった。史奈は黙々と作業をこなす。ベルトを外されて、ズボンの方にもカッターが迫った。股間のあたりに刃が入れられる。ある程度まで刃を入れたら後は両手で思い切り引き裂く。拓の白いブリーフが露わになった。
「どう? 襲われる恐怖は? 悔しい? 怖い?」
拓は下から言葉も無く睨み返した。
ビリッビリリッと橋の下に音が響く。やがてボロボロになったズボンは両足から取り去られる。スパイクシューズも脱がされて次々と恥ずかしい格好になっていく。
「それにしても女の子に力で押さえつけられてユニフォーム脱がされるなんて。こんなんで野球部のエースなんて務まるんですかぁ?」
「くっ…」
「ねえ希美。ソックスも脱がすんだっけ?」
「あぁそれはそのままでいいよ。それよりもそこに落ちてる帽子かぶせてあげて」
「うん」
言われた史奈は落ちていた帽子を拾い上げて拓の頭にかぶせる。
「野球帽かぶってたほうが野球部員って解りやすいもんね?」
「はぁっ? …どういう意味だ?」
「今から逆レイプするんだから。野球部の屈強な男子を女の子が力で押さえつけて犯すっていうシチュエーションが必要でしょ?」
「…バカじゃねえの? 本気出せばすぐ脱出してやるってんだっ!」
「シチュエーションは大事だって。思い出の中に強くイメージとして残るからね」
意味の解らないことを言う。拓には理解できなかった。
「パンツも破く?」
「それも後でいいよ。先に剃毛しよ」
「!?」
拓は耳を疑った。
「今…? なんか… ていもうって?」
「そうそう。罰としてボーズにすっから」
「はぁ!?」
「ちんちんの毛、全部剃ってあげる」
「な!!?」
目の前が暗くなる。希美の身体に隠れて史奈がブリーフを脱がそうとしているのが感触で解った。拓は焦った。焦って暴れ始める。