△リュウシン
「ほらもっと足開いて見せなよ!」
奈々が竜心の足首を抱きかかえて吊り上げる。嵌められたことに相当 怒っているようだ。
「やめろ! こんなことしていいと思ってんのか!」
竜心はクラスの代表であることを誇りに思っていた。みんなからも一目置かれ、尊敬されていることは知っていた。顔や身長、成績や運動能力はトップクラス。それなのに翼をもがれて地に落ちてしまった。歯車が狂った。
教室はフルーツバスケットが中断されてパニックとなる。
もう片方の足も誰かに持ち上げられてパカッとVの字に股が割かれる。
「コラッ。ヤメロ! そんなことして後で先生に怒られるぞっ」
辛うじて両手でおちんちんを覆っているが、その手も引っ張られて、このままでは大開放するのも時間の問題だ。女子たちが周りを囲み、男子たちは近づけない。女子たちは溜まりに堪ったものをぶつけるかのごとく、竜心の手足の自由を奪った。
「それっ」
「委員長っ 男の癖に往生際悪いわよ!」
メガネのマリリンや子どもみたいな奈々が他の女子を先導する。マリリンに左手を、靖奈に右手を奪われた。
再び無毛のおちんちんが顔を出す。
「きゃー! やった!」
「委員長ぉ、わざわざ隠すほどのものじゃないじゃーん」
「あははっ 隠すから無理やり見られるんだよ!」
取り囲まれて口々に嘲笑われる。仲間の男子たちは誰も助けにこない。
「少し大きくなってない?」
ラリ子のやつが指摘をする。男子の生態に一際興味のある彼女だ。正常時より興奮状態にあることを周りに吹聴していた。
「エッチなこと考えてたんだ。ちょっと幻滅~」
「あぁあっぅ」
エッチなことなど想像もしていないのに、こういうときくらい男子にはあるんだ。と、弁解したくても口は回らない。
今まで築き上げた優等生像は今日で終わりだ。明日からも顔を合わすクラスメイトにお尻の穴まで余すところなくしげしげと見られている。
「皮被ってるけどオシッコの穴だけ見えてるのね。これって普通なの?」
「色が白いわー。肌がきれいね。さすが委員長っ」
「日焼けで水着の跡が残ってるね。なんだかエッチぃねー うふふっ」
「やだー、お尻の穴見ちゃった。こんなふうになってんだ。恥ずかしい~」
どこを見回しても女子ばかり。味方は一人もいない。勉強や先生のお手伝いをしてきた毎日が明日から無駄になる。明日からはみんなの前ですっぽんぽんにさせられた可哀想な男子だ。チビ太と同じレベルにまで堕ちたということ。
暴れてもおちんちんがブラブラとするだけでしばらく解放されないだろう。
「堂々と見せない委員長が悪いのよ?」
マリリンは竜心が悪いのだと言うことで、自分たちはまったく悪くないと主張する。
「ざまーないねー、いいんちょー。エッチなこと考えるのコレっきりにしなっ」
きゃははっと奈々は勝ち誇った顔をする。心底愉しそうだ。
耐えられそうにない。竜心は涙を零してリタイアを決意した。