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修学旅行で(7)

「早くっ」

 渓口が俺の腕に自分の腕を絡めてくる。強引に連れて行こうとしていた。俺は股間から手を離さなかった。コンクリートの上をぺたぺたと歩く。

「ちょっ… 待って。ぐすんっ。ひ、人通りが多くなったからもう少し待とうぜ… 変な目で見られる…」

「今さら何 言ってんの?」

 笹木がジトッと俺を睨んだ。

「あいつらが服持ってきてくれるから…」

「自分からそんなカッコで歩き始めたんじゃん」

 渓口はもっともなことを言った。

「しょーがないな。ここ暗いからもう少し明るいとこ移動しよ。そこで待てば?」

 中邑が提案する。俺としては裸を見られないように暗いところのほうがいいんだが…。しかし笹木と渓口がグイグイと俺を引っ張って外からの光が入るところまで連れて行った。

 俺は腰の悪い爺さんみたいに歩いた。

 笹木の手って柔らかいな。渓口の絡めた腕はフニフニでスベスベだ。女子たちの体温を感じて俺は生き返った気分だった。時間にしたら一瞬だったが一人は怖かったんだ。みんなが帰ってきてくれて嬉しい。

 安心したら笹木のお尻がぷりんぷりんと目の前にあることに気づいて驚いた。意外と近くで見ると大きいな。あんなに強く押しくらまんじゅうでグニュッとおちんちんを押し潰してきて、柔らかくて温かくて、一見すると小ぶりなお尻なのに力強いというギャップに俺は鼻の下を伸ばしていた。

 イタッ

 おちんちんに変化が現れる。

 朝勃ちだ。

 朝になるとぴょーんとおちんちんが大きくなる現象。何で硬くなって大きくなるのか知らないが、朝でもないのにあの感覚が今 訪れるなんて、どうしてだ?

 おちんちんが後ろに回った状態で勃起するのは痛い。俺は苦痛を避けるためにますますへっぴり腰になった。

「何やってんの、あんた?」

「ちゃんと歩けっ」

 笹木と渓口に怒られる。

 俺はそれどころじゃない。

「なんか怪しい…」

 笹木は俺の股間を見つめてきた。

「男子たち待つの暇だよね」

「もう放っといて帰ろうか。怒られるの嫌だし」

 中邑と市河が話していた。

 笹木はぴんっと何かを思いついたような顔をする。

「ねぇねぇ、せっかくだし、コイツのちんちん見てやろうよ?」

 何だと!?

「…、…そんなの興味ないよ」

 中邑が真っ先に声を上げた。そうだ。もっと言ってやれ!

「だって、見てよ。草凪の恰好。こんなに腰を落として怪しくない?」

「何が?」

「ぷぷっ。アレを隠してるんだって。きっと」

「え、おちんちんでしょ?」

 渓口は笹木が何を言っているのか解らないようだ。

「暇つぶしにはいいんじゃないかな」

 市河はインテリぶって眼鏡のフレームをくいっと上げた。積極的な意思を含ませた声だ。

「あんた、いやらしいこと考えてたんでしょ?」

「ハァ? バッカっ。んなわけ…」

「じゃ、その手、退けてごらんっ」

 笹木は有無を言わさず空いている手で俺の股間から手を退かそうとした。

「あっ! やめっ」

「別に減るもんじゃないし、いいでしょ? あんた今まで散々見せつけてきたじゃん」

「昔の話だろっ」

「そんなカッコで出歩いてどの口が言うんだコラっ」

 笑いながら笹木はグインッと俺の手首を引っ張った。

「なんかおもしろそう」

 渓口が絡めた俺の腕を引っ張る。笹木単独の力なら俺の腕力が勝って退かすことは不可能だ。しかし渓口の両腕の力も加わって敢えなく俺の手は股間から退かされた。

 中邑の見てる前でやめれ!

 俺は渓口に右腕を取られ、笹木に左腕を掴まれた。股間がガラ空きになる。

「あっ おちんちんがない!」

 渓口が声に出して状態を説明した。そう、俺は大きくなったおちんちんを股の後ろに挟み込んでいるんだ。女の子状態ならおちんちんを見られる心配はない。

 しかし、時間の問題のような気もする………。

「へぇ? 股に挟んでるんだ? 男子ってそんなこともできるのね」

 市河は感心したように見ていた。

「いやだ…」

 中邑は顔を赤くして両手で顔の半分を覆っている。非常に女子力の高いリアクションだ。

「変な歩き方すると思ったら… 何を今さら恥ずかしがってるの? 見せなよ」

 笹木は片手で俺の足を開かせようと太ももにの隙間に細い指をねじ込んでくる。

「やめいっ やめいや!」

 俺は抵抗する。腰を落として駄々をこねている子どものようなスタイルになった。または捕まった宇宙人のような状態と言ってもいいだろう。

「お願い」

 笹木は後ろの二人に援護を要請した。俺におちんちんを見せてとお願いしているわけじゃない。市河はフッとニヒルに笑いを含ませて近づいてくる。中邑はおずおずと続いた。

「腕を捕まえてて」

 笹木から市河にバトンタッチする。フリーになった笹木。彼女は俺の左足首をギュッと握ってきた。ズイズイッと引っ張ってきやがる。

「うぉお! やめ! やめろや!」

「往生際が悪いよ」

 渓口が片手で右足太ももをこじ開けようとしてきた。中邑が渓口の援護に回る。両手で渓口と同じように俺の腕を絡め取ってきた。渓口は安心して両腕を俺の太ももに回してきて引っ張る。

「ぐぬお! 女子なんかが男の俺に敵うわけねぇだろ! さっさと諦めろ! くそっ!」

「おーえすおーえすっ」

 渓口は楽しんでいるようだった。

「強い… みんなで… 力を合わせてるのに…」

 笹木が悔しがる。

 俺は腰を落としているから簡単に動かないぞ。

「やれるもんならやってみろっ くっそ!」

 女子の力なんて大したことはなかった。男の俺がちょっと踏ん張れば非力な女の腕でどうにかなるわけがない。男は狩りの能力を得るために女なんかより全てにおいて優れているのだ。腕力だけではなく知力や勇気も凄いんだぞ。今は同じくらいだけど背は将来的に伸びるし、走るのが早い! あと… 食べる量が凄いし、声もでかい! 寝るのも早い!

 負けるわけが…!

「えいっ」

「うお」

 俺の左足が浮いた。引っ張るのではなく上げられたのだ。

 グイッと踏ん張りの効かなくなった右の太ももがこじ開けられる。

 知力で負けたようだ。

 股が開かれてしまった。

 4人の女子が見つめる中、勃起したおちんちんが勢いよく股の後ろから飛び出した。

 ぴょーん!

 ぺちんっ!

 元気が良すぎて俺の腹に当たった。広くて静かな空間に情けない音が響き渡ったのだった。  

 ぶらん… ぶらん…。

 隆々と勇ましい肉の棒が揺れていた。

 硬く反り返って、カブトムシの角のように立派なおちんちんだ。

「ぷっ なに今のっ」

 笹木が下から見上げながら俺の顔を見て笑った。

「ちっせー!」

 渓口が俺の立派な大きいおちんちんを見て正反対の感想を言う。

「男子の勃起って初めて見た…」

 市河が珍しく顔を赤くしていた。

「ぷ… くすっ」

 中邑は静かに俺の横で笑いを堪えているのが解った。

「ぅぅ…」

 俺はみんなにおちんちんを見られる屈辱に耐えながら、それでもなんだか解放された気分だった。

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